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クララの出家(有島武郎)のあらすじ・登場人物

富も愛も捨てて修道の道へ

  • 心理

有島武郎 1917年(大正6年)9月 「太陽」

文字数
13,787字
読了目安
約28分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

有島武郎が1917年(大正6年)、「太陽」に発表した短編小説。十三世紀イタリアの聖女、アッシジのクララの出家の物語である。裕福な貴族の娘として何不自由なく育ち、求婚者もあったクララが、聖フランシスの清貧の教えに強く心を打たれ、いっさいの富も愛も名誉も捨てて修道の道へと身を投じる。世俗の甘い愛の誘惑と、神への誓いとの相克を経て、一人の乙女が信仰へと飛躍するさまを、有島が荘厳な筆致で描いた一編である。

あらすじ

十三世紀のイタリア、アッシジ。裕福な貴族の家に生まれたクララは、美しく気高い娘だった。名門モントルソリ家のパオロをはじめ、彼女に思いを寄せる求婚者もある。だが、十六の歳に神の子キリストの婢女として生き通そうと誓ったクララの心を、聖フランシスの説く清貧と献身の教えが、いよいよ深くとらえて離さない。夢のなかで、求婚者パオロの手が首に触れ、この世の甘い愛に引き込まれそうになるたび、クララは自らが暗い深淵へと落ちていく恐怖――神への誓いを忘れた報いに地獄へ落ちる恐怖に襲われ、一心に聖母を念じる。富も、地位も、愛も、この世のいっさいの幸福をなげうって、清らかな修道の道へ進みたい――その燃えるような願いに突き動かされたクララは、ついにある夜、ひそかに家を抜け出す。暗い夜道を、聖フランシスとその教友たちの待つ小聖堂ポルチウンクウラへと向かい、炬火をかかげた者たちにすがって泣きながら、出家の願いを訴える。平原の夜の静寂を破って、はるか下のポルチウンクウラからは、新たな修道女を迎えようとする教友たちの合唱の声が、静かに、かすかに、おごそかに響いてくるのだった。この世の幸福を捨てて信仰へと飛躍する乙女の魂の劇を、有島が荘厳な筆致で描いた一編である。

登場人物

冒頭部(原文より)

 また夢に襲われてクララは暗い中に眼をさました。妹のアグネスは同じ床の中で、姉の胸によりそってすやすやと静かに眠りつづけていた。千二百十二年の三月十八日、救世主のエルサレム入城を記念する棕櫚の安息日の朝の事。

「クララの出家」有島武郎(青空文庫)

末尾部(原文より)

 クララは炬火を持った四人にすすり泣きながら歎願した。四人はクララを中央に置いて黙ったままうずくまった。  平原の平和な夜の沈黙を破って、遙か下のポルチウンクウラからは、新嫁を迎うべき教友らが、心をこめて歌いつれる合唱の声が、静かにかすかにおごそかに聞こえて来た。

「クララの出家」有島武郎(青空文庫)

原文を読む

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