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独身(森鴎外)のあらすじ・登場人物

雪の夜の独身論議

  • 心理

森鴎外 1910年(明治43年)1月 「スバル」

文字数
8,999字
読了目安
約18分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 福岡県

この作品について

『スバル』1910年1月号に載った短編。小倉の雪の夜、独身を通す炭鉱会社の理事長の家に集まった友人たちが、有妻か無妻かをめぐって酒を飲みながら議論する。法曹・医師・禅僧の客が持ち寄る話を通して、独身生活や信仰、女性観が語られる。小倉は鷗外が軍医として赴任した地で、土地の風俗が細かく描かれる。

あらすじ

小倉の雪の夜、帝国採炭会社の理事長大野豊の家に、裁判所長の戸川と、市病院長の富田が落ち合い、饂飩で酒を飲む。四十になる大野は独り者で、東京の祖母から嫁の相談の手紙が来ている。富田が独身生活の危険を言い立てると、戸川は、新発田で下女と関係を持ち、妻にした同期の宮沢の話を語る。そこへ曹洞宗の寧国寺さんが、古本屋の大智度論の端本の件を知らせに来て、大野と仏法をめぐる議論になる。富田は、お稲荷様の託宣と称する女中あがりの細君に頭の上がらない箕村医師の話で、なおも独身を攻撃する。戸川が富田を引きずって帰ったあと、大野は下女の竹を女として見ようとするが、どうしても異性とは思えない。法会で百姓娘の髪の匂いに心を奪われた経験を思い出して、微笑する。祖母の手紙には、井上の嬢さんを上野で引き合わされた様子が綴られていた。美しいが一度も笑わなかったとある。大野はランプを消して、床に入った。

登場人物

冒頭部(原文より)

小倉の冬は冬という程の事はない。西北の海から長門の一角を掠めて、寒い風が吹いて来て、蜜柑の木の枯葉を庭の砂の上に吹き落して、からからと音をさせて、庭のあちこちへ吹き遣って、暫くおもちゃにしていて、とうとう縁の下に吹き込んでしまう。そういう日が暮れると、どこの家でも宵のうちから戸を締めてしまう。 外はいつか雪になる。おりおり足を刻んで駈けて通る伝便の鈴の音がする。

「独身」森鴎外(青空文庫)

末尾部(原文より)

読んでしまった大野は、竹が机の傍へ出して置いた雪洞に火を附けて、それを持って、ランプを吹き消して起った。これから独寝の冷たい床に這入ってどんな夢を見ることやら。

「独身」森鴎外(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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