二人の友(森鴎外)のあらすじ・登場人物
小倉で出会った二人の友
- 心理
- 文字数
- 11,632字
- 読了目安
- 約23分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 福岡県
- 東京都
この作品について
森鷗外が小倉で過ごした年月を背景に、「私」と二人の友人との交わりを回想した短編。ドイツ語に非凡な自信を持つ青年F君が東京から「私」を追って押しかけてくる場面に始まり、哲学書の訳読をする若い僧・安国寺さんを交えた付き合いが、東京へ移ってからも続いていく。初出は雑誌『アルス』。肩の力を抜いた回想の語りで、人物の癖や言動を丹念に写している。
あらすじ
小倉に足掛け四年暮らした「私」は、最初の年の十月、役所から帰った家で、洋服姿の若い男の訪問を受ける。F君と名乗る同郷の石見人で、ドイツ語を深く学ぶために東京から私を追って来たという。試しに心理学書の一節を読ませると、術語だらけの原文を苦もなく説き明かし、狂人ではないかと疑った私は驚く。金がないと聞いた私は宿屋に預けて、土地の青年団体にドイツ語教師の口を世話した。やがて私は、F君が異性にほとんど疎い純朴な人物だと知って距離を縮める。そのころ私の家には若い僧の安国寺さんが通い、唯識の講義とドイツ文の哲学入門の訳読を交換していた。私が東京へ戻ると安国寺さんも跡を追って上京し、F君も同じ下宿に入る。語学の教え方が合わず、安国寺さんは苦しむ。やがてF君は向かいの下宿の女学生と結ばれ、反対する親元を説得する使者に安国寺さんが立つ。私が日露戦争に出征する間に、安国寺さんは病を得て九州の寺の住職となり、F君は小石川に住み続け、数年後に咽頭癌のため急死した。
登場人物
- 私 語り手。小倉の役所に勤める官吏
- F君 ドイツ語に自信を持つ石見出身の青年。小倉でドイツ語教師になる
- 安国寺さん 若い僧。唯識の講義と哲学入門の訳読を「私」と交換する
冒頭部(原文より)
私は豊前の小倉に足掛四年いた。その初の年の十月であった。六月の霖雨の最中に来て借りた鍛冶町の家で、私は寂しく夏を越したが、まだその夏のなごりがどこやらに残っていて、暖い日が続いた。
「二人の友」森鴎外(青空文庫)
末尾部(原文より)
F君は相変らず小石川に住んで、第一高等学校に勤めていた。君と私との忙しい生活は、互に訪問することを許さぬので、私は時々巣鴨三田線の電車の中で、君と語を交えるに過ぎなかった。 それから四五年の後に私は突然F君の訃音に接した。咽頭の癌腫のために急に亡くなったと云うことである。
「二人の友」森鴎外(青空文庫)
原文を読む
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