灰色の巨人(江戸川乱歩)のあらすじ・登場人物
宝石をねらう灰色の巨人
- ミステリ
- 冒険
- 文字数
- 78,524字
- 読了目安
- 約2時間37分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 東京都
この作品について
江戸川乱歩が講談社の月刊誌「少年クラブ」に1955年(昭和30)の1年間連載した、少年探偵団ものの長編。宝石展覧会の真珠塔、銀座の宝石商、サーカスで輝く宝冠と、宝石をねらう「灰色の巨人」を名乗る怪盗の予告状が事件の軸になる。アドバルーンで空へ逃げる賊、一寸法師、巨大なゾウなど、見世物めいた趣向が次々に現れる。少年探偵団が団長の小林少年のもと、サーカスの見張りや神社の捜索に活躍する場面も多く、宝石と見世物の魅力を前面に出した一作。
あらすじ
東京のデパートで開かれた宝石展に、三重県の真珠王が出品した真珠塔「志摩の女王」がならんだ。真珠職人の松村が真珠塔をだまし取り、ビニールの巨大なアドバルーンに乗って空へ逃げ去る。やがて警察に届いた手紙は、これから宝石を集めると予告して「灰色の巨人」と署名されていた。次に狙われたのは銀座の宝石商・大賞堂で、明智探偵と警察の見張りをよそに、怪しい少女と一寸法師が店をさわがせ、首かざりが消える。少年探偵団員の園井正一の家には、ヨーロッパの女王がかぶった「にじの宝冠」が持ちこまれ、宝冠を見る会がひらかれる。小林団長が団員たちと家のまわりを巡回する中、宝冠は盗まれ、サーカスの道化師や馬に乗る十人の女王さま、逃げだすゾウなど奇怪なことが相次ぐ。明智探偵と少年探偵団は八幡神社の森で宝冠をかぶった少女の行方を探すが、そのうち園井少年が姿を消し、巨人から宝冠と引きかえに少年を返すという手紙が届く。父親は探偵犬シャーロックを使った明智の追跡も借りて少年を取り戻す。やがて灰色の巨人の本拠が、コンクリートの大仏の体内にあることが突き止められる。警官隊に追われた首領はヘリコプターで逃走するが、機内にひそんでいた小林少年に捕らえられ、正体の怪人四十面相は警視庁の中庭に降ろされた。
登場人物
- 明智小五郎 名探偵
- 小林芳雄 少年探偵団の団長
- 園井正一 少年探偵団の団員
- 灰色の巨人 宝石をねらう怪盗
冒頭部(原文より)
東京のまん中にある有名なデパートで、宝石てんらん会がひらかれていました。そのデパートの美術部主任が大活動をして、日本じゅうの名のある宝石をかり集め、五階のてんらん会場に、きらびやかにちんれつしたのです。 むかしの華族や各地方の名家の、だいじにしている宝石類が、日本にもこんなに宝石があったのかと、おどろくほど集まったのです。宮さまからの出品もいくつかありました。
「灰色の巨人」江戸川乱歩(青空文庫)
末尾部(原文より)
ヘリコプターは、いくども、せんかいをつづけたあとで、しずかに、中庭に着陸しました。それを見ると、何十人という警官が、四方からかけよって、ヘリコプターを、とりかこみました。 怪人四十面相が、ぶじに、警官の手にひきわたされたことは、いうまでもありません。そして、あくる日の新聞に、明智探偵と小林少年の写真が、大きくのって、そのてがらばなしが、書きたてられたことも、これまでのいろいろな事件の時と同じでした。
「灰色の巨人」江戸川乱歩(青空文庫)
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。
同じ作家の作品
近い作品
- 左近の怒り 1954年(昭和29年)7月
- 明治開化 安吾捕物 その六 血を見る真珠 1951年(昭和26年)3月
- 人外魔境 地軸二万哩 1940年(昭和15年)8月
- 人外魔境 水棲人 1940年(昭和15年)3月
- 人外魔境 遊魂境 1940年(昭和15年)6月
- 天狗岩の殺人魔 1938年(昭和13年)3月