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半七捕物帳 青山の仇討(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物

六道の辻で見た仇討ちの夜

  • ミステリ
  • 歴史

岡本綺堂 

文字数
21,839字
読了目安
約44分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都
  • 千葉県

この作品について

岡本綺堂「半七捕物帳」の一編。明治二十七年、新富座で九蔵の佐倉宗吾を見てきた半七老人が、嘉永四年に中村座で初演された「東山桜荘子」の大当たりから語り始める。宗吾の芝居見物に下総佐倉から出てきた百姓の一行四人が、青山六道の辻で、浪人が「おのれ盗賊」と叫んで若党を斬り捨てる仇討ちを目の当たりにする。証人として辻番所へ連れて行かれたその日の夜、一行は親類の米屋からの帰り道で襲われ、娘が行方知れずとなる。江戸の場末の青山・千駄ヶ谷を舞台に、二つの「仇討ち」を描く一話。

あらすじ

佐倉宗吾の芝居見物に佐倉から出てきた百姓金右衛門と娘おさん、為吉と妹お種の四人は、青山六道の辻で、浪人が若党を「おのれ盗賊」と斬り捨てる場に出くわし、証人として辻番所へ連れて行かれる。浪人は藩の金蔵を破った親の仇を討ったと申し立てたが、すきを見て逃げ、名乗った藩にもそんな者はいなかった。その夜、千駄ヶ谷谷町の親類の米屋下総屋からの帰り道、竹藪から出た者に金右衛門が斬られ、おさんがさらわれる。半七は子分の庄太と調べ、下総屋の亭主茂兵衛は金右衛門の従妹の亭主で、その従妹お稲がおととし亡くなっていたことを聞き出す。今度は湯屋帰りのお種まで姿を消す。半七は近くの空き屋敷の押入れに監禁の跡を見つける。その夜、下総屋の米搗き藤助が、茂兵衛の指図でお種の身代金を持たせた為吉を権田原の榛の木へ案内する。そこへ心中しに来た男女が人殺しと叫んで逃げてきて、騒ぎのなか為吉が斬られる。半七は再び斬りかかってきた男を組み伏せた。男は六道の辻の浪人野口武助で、金蔵破りの仲間に金を持ち逃げされた恨みを晴らしただけの偽の仇討ちだった。武助は茂兵衛の悪仲間で、茂兵衛は八年前に金右衛門と女房の仲を疑って恨み、女仇討ちのつもりで金右衛門を襲い、若い者の銀八に娘たちをさらわせていたのである。茂兵衛と銀八は捕らえられたが、逃げ出した娘二人は海に身を投げ、おさんは助からなかった。

登場人物

冒頭部(原文より)

読者もすでに御承知の通り、半七老人の話はとかくに芝居がかりである。尤も昔の探索は、幾らか芝居気が無くては出来なかったのかも知れない。したがって、この老人が芝居好きであることもしばしば紹介した。  日清戦争が突発するふた月ほど前、明治二十七年五月の二十日過ぎである。例のごとく日曜日の朝から赤坂の宅へ推参すると、老人はきのう新富座を見物したと云った。

「半七捕物帳 青山の仇討」岡本綺堂(青空文庫)

末尾部(原文より)

「この方はなんと云っても芝居がかりの粋事です。男も女も借金と云ったところで知れたものですから、わたくしが口を利いて、甲州屋の方は親許身請けと云うことにして、お若のからだを抜いてやりましたよ」 「めでたく徳次郎と夫婦になったのですね。そこで、その親許身請けの金は……」 「乗りかかった船で仕方がありません。半七の腹切りです。しかし、わたくしの顔を立てて、甲州屋でも思い切って負けてくれましたから、さしたる痛みでもありませんでした。そりゃあ貴方、わたくしだって、人を縛るばかりが能じゃあない。時にはこういう立役にもなりますよ。はははははは」  恐らく其の当時、半七老人は幡随院長兵衛の二代目にでもなったような涼しい顔をして、いい心持そうに反り返ったのであろうと察せられた。

「半七捕物帳 青山の仇討」岡本綺堂(青空文庫)

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