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半七捕物帳 化け銀杏(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物

化け銀杏の下で消えた探幽

  • ミステリ
  • 歴史

岡本綺堂 

文字数
16,643字
読了目安
約33分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

岡本綺堂「半七捕物帳」の一編。暮れに無沙汰の詫びに訪ねた「わたし」は、半七老人の家から身なりのよい親子連れが帰るところに行き合う。横浜で成功した商人の水原忠三郎で、老人はその人と自分との縁から話を始める。文久元年の暮れ、日本橋の茶道具商河内屋の若い番頭忠三郎が、本郷森川宿の旗本屋敷から狩野探幽の鬼の図を受け取った帰り、雪まじりの雨の夜に、子どもに化けて提灯の火を取るなどの怪しい言い伝えのある松円寺の「化け銀杏」の下で何者かに投げ飛ばされ、気を失う。探幽の名品の売り買いをめぐる駆け引き、旗本屋敷の内情、本郷・下谷の町と人々を背景に、半七が消えた掛物と金の行方を追っていく。

あらすじ

文久元年十一月、日本橋の茶道具商河内屋は、本郷森川宿の旗本稲川家の用人から、家宝の狩野探幽の鬼の図を五百両で買い取ってほしいと持ちかけられる。番頭忠三郎は半値の二百五十両で掛物を質に取る形で話をまとめ、主人から内々に預かった百両も胴巻に入れたまま、雪まじりの雨の夜に帰途につく。松円寺の化け銀杏の下で、何者かに襟首をつかまれて投げつけられ、気を失った。下谷の大工峰蔵に助けられたときには、胴巻も掛物も羽織も消えていた。半七は子分の仙吉を囮にして化け銀杏の下を歩かせ、塀を越えて来た者に投げられたとき漂った線香の匂いから、松円寺の怪力の小坊主周道のいたずらと突きとめる。だが周道は、人を投げはしても物は取っていないと言い張った。そのころ、化け銀杏の下に若い女の幽霊が出るという噂も立つ。十二月、河内屋の主人が、芝の質屋三島屋の茶会でその鬼の図そっくりの掛物を見かけるが、稲川家の用人は確かめに行くのを渋る。一方、仙吉が聞き込んだ贋物の探幽の出どころをたどると、峰蔵の娘お豊が古道具屋に売ったものだった。夫長作の博奕場通いに苦しむお豊を問い詰めると、お豊は井戸へ飛び込もうとする。長作は倒れていた忠三郎の金と掛物と羽織を奪っていたのだった。お豊が化け銀杏の下に立っていたのは、博奕場の旗本屋敷へ夫を迎えに行ったためだった。長作は獄門となった。忠三郎が受け取った掛物は、値切られた稲川家の用人が渡した贋物で、本物は三島屋に売られていた。

登場人物

冒頭部(原文より)

     一  その頃、わたしはかなり忙がしい仕事を持っていたので、どうかすると三月も四月も半七老人のところへ御無沙汰することがあった。そうして、ときどき思い出したように、ふらりと訪ねてゆくと老人はいつも同じ笑い顔でわたしを迎えてくれた。

「半七捕物帳 化け銀杏」岡本綺堂(青空文庫)

末尾部(原文より)

 河内屋からわたくしのところへ礼に来ましたが、とりわけて番頭の忠三郎はひどくそれを恩にきて、その後もたびたびわたくしを訪ねてくれました。それが今帰って行った水原さんで、維新後に河内屋は商売換えをしてしまいましたが、水原さんは横浜へ行って売込み商をはじめて、それがとんとん拍子にあたって、すっかり盛大になったんですが、それでも昔のことを忘れないで、わたくしのような者とも相変らず附き合っていてくれます。実はきょうも、例の化け銀杏の一件を話して帰ったんですよ」

「半七捕物帳 化け銀杏」岡本綺堂(青空文庫)

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