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半七捕物帳 歩兵の髪切り(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物

屯所で続く歩兵の髷切り

  • ミステリ
  • 歴史

岡本綺堂 

文字数
21,056字
読了目安
約42分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

岡本綺堂「半七捕物帳」の一編。明治のある年の暮れ、深川八幡の歳の市に出かけた語り手は、理髪店から出てきた半七老人と出会い、冬木弁天の蕎麦屋で江戸の髪結床の話を聞くうちに、髷を切られる「髪切り」の怪談に話が及ぶ。慶応元年の春、幕府が百姓の次三男を集めて作った歩兵隊の神田小川町の屯所で、ある小隊の兵士十一人が次々と髷を切られる。「豹」「茶袋」とあだ名された歩兵の不人気や、見世物の豹が逃げたという噂など、幕末江戸の騒がしい世相のなかで、半七が髪切りの正体を追う一話。

あらすじ

慶応元年二月から三月にかけて、神田小川町の幕府歩兵屯所で、第二小隊の兵十一人が次々と髷を切られる。暗がりで天鵞絨か獣の毛のようなものに飛びつかれたと言うのは、鮎川丈次郎と増田太平の二人だけだった。世間では、歩兵の異名から豹の仕業などと噂される。小隊長根井善七郎に頼まれた半七は屯所を見て回る。門前で湯島天神下の小料理屋藤屋の女中お房と出会い、鮎川となじみらしいと見当をつける。ほどなく、浅草代地河岸の囲い者お園の家に二人組の押し込みが入り、着物を奪ったうえ髷を切っていく。お園の旦那は歩兵の大隊長箕輪主計之助だった。同じ夜、下谷金杉の質屋に入った押し込みの一人には髷がなかった。半七は向島の堤の茶屋で、鮎川が侍らしい男から、お房の兄米吉を通じて金を受け取る算段をしているのを盗み聞く。帰り道、堤の下に酔って寝ていた坊主上がりの良住を捕らえ、質屋の押し込みは良住と米吉の仕業と知れる。髪切りは、鮎川と増田が米吉を通じて何者かに買収され、歩兵隊の面目をつぶそうとした仕業で、お園の家を襲ったのも二人だった。増田は捕らえられたが、鮎川はお房と駆け落ちして行方知れずとなり、米吉は王子の川で死骸となって見つかった。黒幕は薩摩か長州かと噂されたまま、事件はうやむやに終わる。

登場人物

冒頭部(原文より)

前回には極月十三日の訪問記をかいたが、十二月十四日についても、一つの思い出がある。江戸以来、歳の市の始まりは深川八幡で、それが十四、十五の両日であることは、わたしも子どもの時から知っていたが、一度もその実況を観たことが無いので、天気のいいのを幸いに、俄かに思い立って深川へ足を向けた。

「半七捕物帳 歩兵の髪切り」岡本綺堂(青空文庫)

末尾部(原文より)

云い終って、老人はまた思い出したように溜め息をついた。 「めずらしいと云えば、ここに少し不思議なお話があります。慶応三年十二月十三日、歩兵隊が吉原で喧嘩をはじめて、廓内の者や弥次馬に取り囲まれ、十幾人が半死半生の袋叩きに逢いました。そのなかには重傷で死んだものもありました。死んだのはみんな髪切りに出逢った連中だという噂で……。わたくしも何だか変な心持になりました」

「半七捕物帳 歩兵の髪切り」岡本綺堂(青空文庫)

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