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半七捕物帳 石燈籠(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物

石燈籠の足跡が解く娘の失踪

  • ミステリ
  • 歴史

岡本綺堂 1917年(大正6年) 「文芸倶楽部」

文字数
16,015字
読了目安
約32分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

岡本綺堂が1917年(大正6年)から「文芸倶楽部」に連載した、日本最初の本格的な岡っ引探偵小説「半七捕物帳」の一編(第二話)。老いた元岡っ引・半七老人が、江戸時代の自らの手柄話を語り聞かせるという趣向で、江戸の市井を舞台にした謎解きが展開する。本編は、小間物屋の娘お菊が忽然と姿を消し、しかも幽霊のように現れては消える怪異のなかから、半七が一つの石燈籠の足跡を手がかりに真相を手繰り寄せる。捕物帳ものの原点にして、江戸情緒ゆたかな名編である。

あらすじ

半七老人が「私の売出す始め」として語るのは、まだ十九歳、岡っ引の手先だったころの初手柄の一件である。天保十二年の暮れ、日本橋の小間物屋・菊村の一人娘お菊が、浅草の観音へ参詣に出たきり、供の女中とはぐれて姿を消してしまう。ところが翌日、お菊は下駄を脱いだまま裸足で店に現れ、家人が見ている前で奥へ入ったかと思うと、跡形もなく消えてしまう。誰も出入りを見ておらず、木戸は閉め切られたまま――まるで幽霊のような出来事に、店の者は震えあがる。若い半七は、この怪異のからくりを追ううち、庭の高塀ぎわの石燈籠の苔に、かすかな爪先の足跡が残っているのに目をとめる。これほど身軽に高塀を昇り降りできるのは、よほど体の軽い者――軽業師にちがいない。そう睨んだ半七は、両国の小屋に出る評判のよくない女軽業師・春風小柳へとたどり着く。小柳は年下の男・金次と組んでお菊をだまし、遠くへ売り飛ばしていたのだった。ついに追い詰められた小柳は、両国橋の上から燕のように身をひるがえして大川へ身を投げ、命を絶つ。お菊は無事に取り戻され、半七の名は江戸中に高まった――江戸情緒と鮮やかな謎解きが溶け合う、捕物帳ものの原点というべき名編である。

登場人物

冒頭部(原文より)

一  半七老人は或るとき彼のむかしの身分について詳しい話をしてくれた。江戸時代の探偵物語を読む人々の便宜のために、わたしも少しばかりここにその受け売りをして置きたい。

「半七捕物帳 石燈籠」岡本綺堂(青空文庫)

末尾部(原文より)

「まだ面白い話はないかと云うんですか。自分の手柄話ならば幾らもありますよ。はははは。その内にまた遊びにいらっしゃい」 「ぜひ又話して貰いに来ますよ」  わたしは半七老人と約束して別れた。

「半七捕物帳 石燈籠」岡本綺堂(青空文庫)

名文

「忘れもしない天保丑年の十二月で、わたくしが十九の年の暮でした」

半七老人が若き日の初手柄を語り始める一言。老人の昔語りで江戸の事件をたどる『半七捕物帳』の趣向が、この短い回想から立ち上がる。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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