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半七捕物帳 蟹のお角(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物

額に犬と書かれた早桶の死骸

  • ミステリ
  • 歴史

岡本綺堂 

文字数
20,964字
読了目安
約42分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都
  • 神奈川県

この作品について

岡本綺堂「半七捕物帳」の一編で、「菊人形の昔」の姉妹編として、団子坂の騒ぎのあと行方をくらました巾着切り「蟹のお角」のその後を語る。文久二年の夏、外国船がもたらしたとされる麻疹が江戸で猛威をふるうなか、半七の子分多吉が大川端で、提灯も持たずに早桶をかつぐ二人連れに行き会う。二人は早桶を川へ投げ込んで逃げ、中からは額に「犬」と書かれた裸の男の死骸が出た。やがて横浜の居留地でも、団子坂で襲われた英国人夫婦の変死事件が起こり、半七は横浜へ出向く。開港地の写真術など幕末の新しい風俗を織り込んだ一話。

あらすじ

文久二年七月、麻疹の大流行のさなか、半七の子分多吉は大川端で早桶をかつぐ二人連れに出くわす。二人は早桶を川へ投げ込んで逃げ、引き上げると、額に「犬」と書かれた裸の男の死骸が入っていた。盆の迎え火の夕方、横浜から来た三五郎が半七に加勢を頼む。去年団子坂で群衆に追われた英国人ハリソン夫婦が、居留地の自宅で殺されたという。夫は刃物で喉を突かれ、妻アグネスは庭で犬に喉を噛まれて死んでいた。飼っていた洋犬は、むごたらしく切り刻まれて川に沈められていた。半七は松吉を連れて横浜へ行き、ハリソンの隣人ヘンリーから、写真道楽のハリソンのもとに写真術を習いに通っていた神奈川の写真師島田庄吉の写真と、両胸と両腕に蟹の彫物をした女の裸の写真を見せられる。蟹のお角である。神奈川の島田の家を訪ねると、弟子の吾八が、お角は島田と夫婦同然の仲で、ハリソンとも親しくなっていたが、六月の晦日、異人館から帰るなり島田に出刃庖丁で斬りかかったと話す。島田は九日にお角と出かけたきり戻らず、大川の死骸は島田だった。お角は江戸に戻ったところを捕らえられる。嫉妬したアグネスと島田に洋犬のいる部屋へ閉じ込められ、ひどい辱めを受けたと恨んだお角は、ハリソン夫婦と犬を殺し、島田を眠り薬で殺して江戸へ運ばせ、額に犬と書いたのだった。お角は牢内で麻疹にかかって死んだ。

登場人物

冒頭部(原文より)

団子坂の菊人形の話につづいて、半七老人は更に「蟹のお角」について語り出した。団子坂で外国人らの馬をぬすんだ一件は、馬丁平吉の召し捕りによってひと先ず落着したが、その関係者の一人たる蟹のお角は早くも姿をくらまして、ゆくえ不明となった。したがって、この物語は前者の姉妹篇とでも云うべきものである。

「半七捕物帳 蟹のお角」岡本綺堂(青空文庫)

末尾部(原文より)

コックの富太郎と雇い女のお歌が、主人夫婦の変死について少しも知らないのは可怪しいと云う者もありましたが、まったく知らないと判って釈されました。二人は夫婦になって、後に西洋料理屋をはじめました。吾八は後に宇都宮吾陽という威めしい名乗りをあげて、横浜では売り出しの写真師になりました。わたくしもこの人に写真を撮って貰ったことがあります」  老人は手文庫の底を探って、明治初年の古い写真を出して見せた。

「半七捕物帳 蟹のお角」岡本綺堂(青空文庫)

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