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半七捕物帳 小女郎狐(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物

子狐の祟りか、松葉いぶし

  • ミステリ
  • 歴史

岡本綺堂 

文字数
16,705字
読了目安
約33分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 茨城県

この作品について

岡本綺堂「半七捕物帳」の一編で、半七自身の手柄話ではない異色の話。大岡政談の話題から、半七老人は江戸時代の裁判の仕組みを説き、地方の代官所が手に余る事件を江戸の奉行所へ問い合わせた記録「御仕置例書」から、珍しい一件を紹介する。寛延元年九月、下総国新石下村で、十三夜の月見に猪番小屋に集まった若い男たちが、一夜のうちに松葉いぶしにされて五人が死ぬ。土地には「小女郎狐」と畏れられる化け狐の言い伝えがあり、男たちは数日前に子狐をいぶし殺していた。村の人々が狐の祟りと信じるなか、関八州を回る老練の目明し常陸屋の長次郎が真相を探っていく。

あらすじ

寛延元年九月十三日の夜、下総国新石下村の庄屋茂右衛門の猪番小屋で、月見の酒に酔いつぶれた若い男七人が煙に巻かれ、番人の七助ら五人が死に、二人がかろうじて助かった。炉には青松葉や青唐辛子をいぶした跡があったが、二人は火を焚いた覚えがないという。死んだ五人は数日前、陥穽に落ちた子狐をいぶし殺していたため、村人は土地の小女郎狐の祟りと噂した。八州廻りの目明し常陸屋の長次郎はこれを疑い、高巌寺で五人の墓の卒塔婆が毎晩倒されると聞く。墓を見て回った長次郎は、卒塔婆の泥の指の跡や小さな足跡に目をとめ、先月の十五夜に川で死んだ孝行娘おこよの墓に新しい花が供えられているのに気づく。茶店の女房の話では、おこよは隣村の旧家の息子平太郎との縁談がまとまりかけたところへ、小女郎狐と通じているという噂を立てられて破談になり、身を投げたのだった。平太郎はそれ以来正気を失っていた。その夜、死んだ佐兵衛の妹お徳が田圃道で顔を掻きむしられる。長次郎が墓場に潜んでいると、狐の仕業を疑う佐兵衛の兄善吉が、垣根をくぐって来た小さな影を取り押さえる。それはおこよの妹で十四のお竹だった。お竹は、姉の書置で、姉に横恋慕した七人の男が狐の噂を言い触らしたと知り、猪番小屋で七人をいぶしたのだった。盲目の母を養うため名乗り出ず、狐の仕業に見せかけようと墓を荒らし、お徳を傷つけたのだった。江戸の指図で、生き残った二人は死罪、お竹は所払いとなり、母は村が扶持することになった。

登場人物

冒頭部(原文より)

     一  なにかのことから大岡政談の話が出たときに、半七老人は云った。 「江戸時代には定まった刑法がなかったように考えている人もあるようですが、それは間違いですよ。いくら其の時代だからといって、芝居や講釈でする大岡捌きのように、なんでも裁判官の手心ひとつで決められてしまっちゃあ堪まりません。

「半七捕物帳 小女郎狐」岡本綺堂(青空文庫)

末尾部(原文より)

 これでこの一件も落着した。人間の幸不幸は実にわからない。幸いにいぶし殺されるのを免かれた甚太郎と権十とは一旦入牢の上で、やがて死刑に行なわれた。  お竹は村を立ち退いて、水戸の城下へ再び奉公に出た。盲目の母は高巌寺に引き取られて村方から毎年何俵かの米を貰うことになった。その以来、この村では小女郎狐の噂も絶えてしまった。

「半七捕物帳 小女郎狐」岡本綺堂(青空文庫)

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