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半七捕物帳 廻り灯籠(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物

岡っ引が泥坊に追われる話

  • ミステリ
  • 歴史

岡本綺堂 

文字数
21,308字
読了目安
約43分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

岡本綺堂「半七捕物帳」の一編。正月の寒詣りの鈴の音を聞きながら、半七老人が思い出し笑いとともに、「泥坊をつかまえる岡っ引が泥坊に追っかけられた」という、ものがさかさまになった話を語る。安政元年四月、伝馬町の牢で囚人同士のなれ合い喧嘩を口実に六人が破牢する。そのなかに、正月に自分を捕らえた芝口の二代目の若い岡っ引三甚に仕返しをすると息巻いていた本石町無宿の金蔵がいた。追う者と追われる者が入れ替わっていく、滑稽味のある一話。「正雪の絵馬」と同じ時期の出来事として語られる。

あらすじ

安政元年四月、伝馬町の牢から六人が破牢する。そのなかの本石町無宿の金蔵は、正月に芝口の二代目の岡っ引三甚に捕らえられた男で、青二才に縛られたのは恥だと、仕返しを誓っていた。三甚は気の弱い若者で、恋仲の神明前の小料理屋さつきの娘お浜の母お力が、半七に三甚を守ってほしいと泣きつく。三甚は身延参りと称して姿を消し、金蔵を密告した遊び人の千次も逃げ隠れしていた。半七は、三甚がお浜と高田馬場のお力の妹の小料理屋白井屋にかくまわれていると聞き出し、意見をしに訪ねる。ところが、金蔵が近くをうろついていると聞いていた白井屋の亭主に金蔵と間違えられ、戸塚の岡っ引の若い子分たちに縄をかけられてしまう。誤解が解けたのち、三甚の隠れる植木屋を訪ねると、「三河町の半七」を名乗って三甚に会わせろと迫る男がいた。半七が名乗り出ると男は逃げ、穴八幡で見失う。三甚とお浜はその後も四谷、板橋、練馬、三河島と逃げ回った。やがて千次の注進で、金蔵は王子の故買屋の家で見つかったが、牢を出てすぐに釘を踏み抜き、足が膿んで一歩も外へ出られずにいた。三甚を狙っていたのは、金蔵に代わって仕返しを買って出た仲間の藤吉で、千次から居所を聞き出していたのである。藤吉は千住の寺に押し入って捕らえられ、三甚は岡っ引をやめてさつきの婿になった。

登場人物

冒頭部(原文より)

「いつも云うことですが、わたくし共の方には陽気なお話や面白いお話は少ない」と、半七老人は笑った。 「なにかお正月らしい話をしろと云われても、サアそれはと行き詰まってしまいます。それでも時時におかしいような話はあります。もちろん寄席の落語を聴くように、頭から仕舞いまでげらげら笑っているようなものはありません。まあ、その話に可笑味があるという程度のものですが、それでもおかしいと云えば確かにおかしい」

「半七捕物帳 廻り灯籠」岡本綺堂(青空文庫)

末尾部(原文より)

そこで、このお話ですが……。岡っ引が逃げて、泥坊が追っかける。まことにおかしいようですが、あの廻り燈籠を御覧なさい。いろいろの人間の影がぐるぐる廻っている。あとの人間が前の人間を追っかけているように見えますが、それが絶えず廻っていると、見ようによっては前の人間があとの人間を追っているようにも思われます。人間万事廻り燈籠というのは、こんな理窟かも知れませんね」

「半七捕物帳 廻り灯籠」岡本綺堂(青空文庫)

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