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半七捕物帳 大森の鶏(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物

女に襲いかかった茶屋の雄鶏

  • ミステリ
  • 歴史

岡本綺堂 

文字数
18,354字
読了目安
約37分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都
  • 神奈川県

この作品について

岡本綺堂「半七捕物帳」の一編。汽車で日帰りできるようになった明治の川崎大師の初大師から、半七老人は、夜明け前から雪解けの道を歩いて参った江戸のころの思い出を語る。嘉永四年の初大師の帰り道、子分の庄太と大森の茶屋で一杯やっていた半七の目の前で、飼われていた雄鶏が突然狂ったように一人の粋な中年増に襲いかかる。鶏とその女との因縁を気に留めた半七が、品川、矢口、鈴ヶ森と、江戸の南の街道筋を探っていく一話。

あらすじ

嘉永四年正月二十一日、半七は子分の庄太と川崎大師の初大師に参った帰り、六郷の渡しで見覚えのある粋な中年増を見かける。大森の茶屋で休んでいると、駕籠で乗りつけたその女に、店で飼う雄鶏が狂ったように飛びかかり、脚や顔を傷つけた。鶏は去年、矢口の鶏売りの八蔵から買ったものだという。その夜、銭湯で近所の下駄屋の話を耳にした半七は、女が浅草吾妻橋の軍鶏屋鳥亀の女房お六で、亭主の安蔵は去年の春に下矢切へ鮒釣りに出て溺れ死に、店をたたんで品川へ移ったことを知る。庄太が八蔵を訪ねると、例の鶏は、品川で桂庵を営むお六の家から、同居の若い番頭が殺してしまいたいと言って手放したものだった。半七は、お六と男が共謀して亭主を川へ突き落とし、鶏がそれを恨んでいるのではないかとにらむ。そのころ鈴ヶ森で若い侍の刺殺体が見つかる。番頭の勇二が数日前から鮫洲の金造の家にいると聞いた半七と松吉が踏み込むと、金造が血まみれで転げ出し、中では武家の奥方らしい女が匕首で喉を突こうとしていた。勇二は元の奉公先の旗本の奥方お千恵と若侍文次郎の駆け落ちを手伝うふりをして、文次郎を鈴ヶ森で殺して百両を奪い、奥方を売り飛ばそうと監禁していたのである。勇二とお六は安蔵殺しも白状し、二人とも牢死したのち磔刑に処された。

登場人物

冒頭部(原文より)

ある年の正月下旬である。寒い風のふく宵に半七老人を訪問すると、老人は近所の銭湯から帰って来たところであった。その頃はまだ朝湯の流行っている時代で、半七老人は毎朝六時を合図に手拭をさげて出ると聞いていたのに、日が暮れてから湯に行ったのは珍らしいと思った。それについて、老人の方から先に云い出した。 「今夜は久しぶりで夜の湯へ行きました。日が暮れてから帰って来たもんですから……」

「半七捕物帳 大森の鶏」岡本綺堂(青空文庫)

末尾部(原文より)

塚田の屋敷では奥さまの家出、家来の逐電、おまけに路用の百両が紛失しては、甲州へ出発することも出来ず、さすがの殿様も途方にくれ、屋敷の者共はただ茫然としているところへ、町奉行所からの沙汰があって、金は無事に戻ったので、まずほっとしたわけです。殺された文次郎は仕方もありませんが、生き残った奥様の始末には困ったのでしょう。結局離縁になって里方へ帰されたようです。  お六と勇二は前にも申す通り、どっちも疵の経過が悪く、吟味が済まないのに、二人ともに大熱を発して牢死してしまいましたので、その死骸は塩詰めにして日本橋に三日晒しの上、千住で磔刑に行なわれました」

「半七捕物帳 大森の鶏」岡本綺堂(青空文庫)

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