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半七捕物帳 雪達磨(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物

雪達磨の中から男の死骸

  • ミステリ
  • 歴史

岡本綺堂 

文字数
10,700字
読了目安
約21分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

岡本綺堂「半七捕物帳」の一編。冒頭で語り手の「わたし」が、半七が自分の縄張りの外でも働くのは不自然ではないかという読者の疑問に答える一文を置き、続いて半七老人が「わたくしの縄張り内」の話として語り出す。前の冬に一度も雪が降らなかった江戸に、文久二年の元日から三が日降り続く大雪が積もる。辻々には炭団の眼をした大きな雪達磨が並び、正月半ば過ぎに暖かくなって崩れ始めた一ツ橋門外の火除け地の大雪達磨の底から、座禅を組んだような姿の男の死骸が現れる。致命傷もなく身元も知れない死骸と、大雪の江戸の正月風景とを背景に、半七が小さな手がかりから男の素性をたどっていく短めの一編。

あらすじ

文久二年の正月、元日から三が日降り続いた大雪で、江戸の辻々には雪達磨が並んだ。十七日、一ツ橋門外の火除け地で崩れかけた大きな雪達磨の底から、座禅を組んだような姿の四十二三の田舎風の男の死骸が見つかる。傷はなく、誰が雪達磨を作ったかもわからない。現場の泥のなかに南京玉を見つけ、死骸の袂からも一粒見つけた半七は、田舎者は老舗で買い物をするものと見当をつけ、馬喰町の小間物屋菊一を訪ねる。番頭から、三日の朝に宿屋信濃屋の客が土産と言って南京玉を買ったと聞き、男は上州太田在の百姓と名乗る甚右衛門とわかる。宿の座敷の戸棚からは、南京玉の包みが山ほど出てきた。半七はこれを贋金の地金と見抜き、暮れに甚右衛門を訪ねた錺職の豊吉を捕らえに行く。南京玉を見せられた豊吉は刃物を手に立ち上がるが、半七は南京玉を顔に投げつけて取り押さえる。豊吉が最近品川の女郎を身請けした金の出どころから、職人仲間や江戸の商人四人を含む贋金づかいの一味七人が捕らえられた。吟味の末、豊吉は身請けの残金を無心しようと、甚右衛門と神田の鉄物屋近江屋を訪ね、仲間と酒を飲みながら言い争ううち、甚右衛門は急に倒れて死んだのだとわかった。悪事の露見を恐れた四人は、雪の夜に死骸を火除け地へ運び、大きな雪達磨を作ってその底に埋めたのだった。一味はみな処刑された。

登場人物

冒頭部(原文より)

     一  改めて云うまでもないが、ここに紹介している幾種の探偵ものがたりに、何等かの特色があるとすれば、それは普通の探偵的興味以外に、これらの物語の背景をなしている江戸のおもかげの幾分をうかがい得られるという点にあらねばならない。わたしも注意して、半七老人の談話筆記をなるべく書き誤らないように努めているつもりであるが、その説明がやはり不十分のために、往々にして読者の惑いを惹き起す場合がないとは限らない。

「半七捕物帳 雪達磨」岡本綺堂(青空文庫)

末尾部(原文より)

 贋金つかいの商人四人と共謀の錺職三人がすべて法のごとくに処刑されたのは云うまでもない。先に死んで刑戮をまぬかれた幸運の甚右衛門は、専ら旅先で贋金をつかっていたのであるが、他の商人四人は江戸市中で巧みに使用したことを白状した。  しかしその総高はまだ千両に上らなかった。

「半七捕物帳 雪達磨」岡本綺堂(青空文庫)

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