畑のへり(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
蛙が見たとうもろこし
- 幻想
- 文字数
- 2,016字
- 読了目安
- 約4分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
宮沢賢治の掌編童話。麻が刈られた畑のへりに立つとうもろこしを、蛙たちが「カマジン国の兵隊」と取り違えて怖がり、遠眼鏡でのぞく。蛙の目を通すと、人間の収穫がまるで怪物の仕業のように見える。会話の調子の良さと、とうもろこしを娘さんに見立てる発想が楽しい。
あらすじ
麻が刈られ、畑のへりに一列に植えられたとうもろこしが目立ってくる。そこへ来た蛙が遠眼鏡でのぞき、やせた兵隊が幽霊を抱えて並んでいると思い、おびえて逃げ出す。出会った別の蛙は、あれは去年から知っているとうもろこしで、緑のマントを着た娘さんたちだと教える。そこで二匹がもう一度遠眼鏡をのぞくと、人間がやって来て、手でとうもろこしを次々ともぎ取っている。女の子が娘さんの髪の毛をむしって吹くと、それが青白い火になって燃えあがる。二匹は怖がりながらも見物し、自分たちの歌のほうが上手だと言い合って別れる。実を取られたとうもろこしは、さびしそうに穂を空に揺らしていた。
登場人物
- 蛙たち 遠眼鏡でとうもろこしをのぞく二匹の蛙
- とうもろこし 緑のマントを着た娘さんに見立てられる
冒頭部(原文より)
麻が刈られましたので、畑のへりに一列に植ゑられてゐたたうもろこしは、大へん立派に目立ってきました。 小さな虻だのべっ甲いろのすきとほった羽虫だのみんなかはるがはる来て挨拶して行くのでした。 たうもろこしには、もう頂上にひらひらした穂が立ち、大きな縮れた葉のつけねには尖った青いさやができてゐました。 そして風にざわざわ鳴りました。 一疋の蛙が刈った畑の向ふまで跳んで来て、いきなり、このたうもろこしの列を見て、びっくりして云ひました。
「畑のへり」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
「どうもつかれて声が出ないよ。ぎゅっく。もうよさう。」 「よすかねえ。行ってしまった残念だなあ。」 「ぽくは遠めがねをとってくる。ぢゃさよなら。」 「さよなら。」 二ひきの蛙は別れました。 たうもろこしはさやをなくして大変さびしくなりましたがやっぱり穂をひらひら空にうごかしてゐました。
「畑のへり」宮沢賢治(青空文庫)
原文を読む
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