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林の底(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

梟が語る鳶の染屋

  • 幻想
  • 風刺

宮沢賢治 

文字数
5,626字
読了目安
約11分
表記
新字旧仮名

この作品について

宮沢賢治の童話。月夜の林で、年とった梟が「鳥はもとみな白かった」と語り出す。話し相手の「私」は梟をあまり信用せず、茶々を入れてはつじつまを確かめる。鳶の染屋の話を軸に、鳥の色の由来を冗談まじりに語る童話で、問い詰める「私」と言い逃れる梟の掛け合いが楽しい。

あらすじ

黄金の鎌のような月が西にかかる晩、年とった梟が「鳥は昔みな白かった」と「私」に話しかける。「私」は梟をあまり信用せず、猫というあだ名を指摘して困らせたり、揚げ足をとったりしながら聞く。梟によると、白一色では呼び間違いが多く、鳥たちは工夫を求めていた。そこへ鳶が染屋を開き、鳥たちは染めてもらいに出かける。鳥を染壺に漬けるため、息の続かない小さな鳥は顔の一部が染まらず、めじろやほおじろの白い部分はそのせいだと梟は言う。鳶は金もうけと自慢で怠けるようになり、烏が談判すると、わざと墨壺に漬けて真っ黒にする。怒った烏が仲間に言いつけ、鳥たちは鳶を墨壺に漬けて染物屋の看板を壊す。鷺と白鳥だけが染まらず白く残った。「私」は梟と別れ、月光の林を帰っていく。

登場人物

冒頭部(原文より)

「わたしらの先祖やなんか、  鳥がはじめて、天から降って来たときは、  どいつもこいつも、みないち様に白でした。」 「黄金の鎌」が西のそらにかゝつて、風もないしづかな晩に、一ぴきのとしよりの梟が、林の中の低い松の枝から、斯う私に話しかけました。  ところが私は梟などを、あんまり信用しませんでした。ちょっと見ると梟は、いつでも頬をふくらせて、滅多にしゃべらず、たまたま云へば声もどっしりしてますし、眼も話す間ははっきり大きく開いてゐます、又木の陰の青ぐろいとこなどで、尤もらしく肥った首をまげたりなんかするとこは、いかにもこゝろもまっすぐらしく、誰も一ペんは欺されさうです。私はけれども仲々信用しませんでした。しかし又そんな用のない晩に、銀いろの月光を吸ひながら、そんな大きな梟が、どんなことを云ひ出すか、事によるといまの話のもやうでは名高いとんびの染屋のことを私に聞かせようとしてゐるらしいのでした、そんなはなしをよく辻棲のあふやうに、ぼろを出さないやうに云へるかどうか、ゆっくり聴いてみることも、決して悪くはないと思ひましたから、私はなるべくまじめな顔で云ひました。

「林の底」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

「さうかねえ、それでよくわかったよ。さうして見ると、おまへなんかはまあ割合に早く染めて貰ってよかったねえ、なかなか細く染まってゐるし。」  私は斯う言ひながらもう立ちあがりその水銀いろの重い月光と、黒い木立のかげの中を、ふくろふとわかれて帰りました。

「林の底」宮沢賢治(青空文庫)

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