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ひかりの素足(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

うすあかりの国を歩く、兄弟の素足

  • 幻想
  • 心理

宮沢賢治 1934年(昭和9年)

文字数
17,208字
読了目安
約34分
表記
新字旧仮名
舞台
  • 岩手県

この作品について

吹雪の山道で遭難した一郎と楢夫の兄弟が、地獄のような「うすあかりの国」を歩かされ、そこに現れる「ひかりの素足」の人に出会う——宮沢賢治が法華経の思想をもっとも直接に童話にした一編。方言そのままの兄弟の会話が、いつまでも胸に残る。

あらすじ

山小屋で炭焼きの父と過ごした一郎と楢夫の兄弟は、月曜の学校にそなえて、炭を積んだ馬を引く人について家へ帰ることになった。よく固まった雪道は気持ちよく、空はまっ青に晴れている。ところが途中で天候が急変し、猛烈な吹雪が二人を襲った。楢夫は倒れ、一郎も雪に埋もれてゆく。——気がつくと、二人は見知らぬ薄暗い国を歩かされていた。ざらざらの灰いろの野原には黒い棘が生え、素足で歩かされる人々の足からは血が流れている。鬼のような「にせものの人」たちが鞭をふるい、泣き叫ぶ子どもたちが列をなして進んでゆく。一郎は弟をかばい、自分が痛みを引き受けようとするが、どうにもならない。「うすあかりの国」の底知れぬ苦しみのなかで、二人は自分たちの罪を数えあげられ、追い立てられる。そのとき、一面がぱっと明るくなって、ひとりの人が現れた。その人の素足は、まばゆい光そのものであった。棘の上を歩いても傷つかず、鬼たちは光に打たれて消えてゆく。その人は一郎と楢夫を引き寄せ、「なぜ泣くの。もうお前たちは苦しくないんだよ」と語りかけた。やがて一郎は現実に引き戻される。まばゆい青ぞらに村の人たちの顔が浮かび、彼は楢夫を堅く抱いて雪に埋まっていた。「弟ぁなぢょだ」——猟師が叫ぶ。楢夫の顔は苹果のように赤く、その唇はさっき光の国で一郎と別れたときのまま、かすかに笑っていた。けれどもその眼はとじ、息は絶え、手や胸は氷のように冷えてしまっていたのである。

登場人物

冒頭部(原文より)

      一、山小屋  鳥の声があんまりやかましいので一郎は眼をさましました。  もうすっかり夜があけてゐたのです。  小屋の隅から三本の青い日光の棒が斜めにまっすぐに兄弟の頭の上を越して向ふの萱の壁の山刀やはむばきを照らしてゐました。

「ひかりの素足」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

 猟師が叫びました。一郎は扶けられて起されながらも一度楢夫の顔を見ました。その顔は苹果のやうに赤くその唇はさっき光の国で一郎と別れたときのまゝ、かすかに笑ってゐたのです。けれどもその眼はとぢその息は絶えそしてその手や胸は氷のやうに冷えてしまってゐたのです。

「ひかりの素足」宮沢賢治(青空文庫)

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