ほんとにそのとおり!(アンデルセン)のあらすじ・登場人物
羽一枚が五羽になる噂
- 風刺
- 翻訳
- 文字数
- 2,910字
- 読了目安
- 約6分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
アンデルセンが1852年に発表した童話(原題「Det er ganske vist!」。「まったくほんとうだ」の意)を、矢崎源九郎が訳したもの(新潮文庫『人魚の姫 アンデルセン童話集Ⅰ』)。トリ小屋で羽が一枚ぬけたというだけの出来事が、伝わるたびに大きくなり、ついには五羽のメンドリの惨事になる噂話の連鎖を描く。噂が広がるしくみを、鳥たちの口調でユーモラスに見せた、短いが痛烈な風刺。
あらすじ
町のはずれで、一羽のメンドリが、むこうのトリ小屋で起きた恐ろしい話を始める。小屋では、まっ白なメンドリが、とまり木に飛びあがろうとして自分の羽をつつき、小さな羽が一枚ぬけおち、冗談に「羽をつつけばきれいになる」と言って眠る。それを聞いたとなりのメンドリが、自分をきれいにみせようと羽をむしるメンドリがいる、とべつのメンドリにささやく。話はフクロウ、ハト、オンドリ、コウモリへと伝わり、そのたびに大きくなって、一羽が二羽に、三羽に、ついには五羽のメンドリがオンドリに恋をして羽をむしり、血まみれでけんかして死んだという話になる。元のメンドリは、まさか自分のことと知らず、そんなメンドリはけいべつすると言って、新聞にのせようと言い、話は新聞にのり、本にも印刷される。
登場人物
- まっ白なメンドリ 羽が一枚ぬけただけの、りっぱなメンドリ
- となりのメンドリ 話を聞いて広めはじめる
- フクロウ・ハト・オンドリ・コウモリ 話を伝えるたびに大きくする
冒頭部(原文より)
「おそろしい話なのよ!」と、一羽のメンドリが言いました。 そこは、町のはずれで、このお話のできごとのあったところとは、なんの関係もない場所でした。 「むこうの、トリ小屋で起った、おそろしい話なのよ。あたし、今夜は、とっても、ひとりでなんか、眠れそうもないわ。でも、あたしたちは、こうやってみんないっしょに、とまり木の上にかたまっているからいいけれど」 それから、メンドリは話しはじめました。すると、ほかのメンドリたちは、毛をさかだて、オンドリたちは、とさかを、だらりとたれました。ほんとにそのとおり!
「ほんとにそのとおり!」アンデルセン(青空文庫)
末尾部(原文より)
ところが、あのメンドリは、小さな羽が一枚ぬけおちて、なくなっただけなのですから、まさか、これが、自分の話とは知るはずもありません。それに、このメンドリは、りっぱなメンドリでしたから、こう言いました。 「あたし、そんなメンドリは、けいべつしてやるわ。でも、そういうひとたちって、ずいぶんいるものね。そういうことは、かくしておいてはいけないわ。ひとつ、この話が、新聞にのるようにしてやりましょう。そうすれば、国じゅうにひろまるわ。そのくらいの目にあったって、そのメンドリたちや、家族のものには、しかたがないことだわ」 こうして、このお話は新聞にのりました。それから、本にも印刷されました。ほんとにそのとおり! 小さな一枚の羽が、しまいには、五羽のメンドリになれるんですよ。
「ほんとにそのとおり!」アンデルセン(青空文庫)
原文を読む
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