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露肆(泉鏡花)のあらすじ・登場人物

夜店の灯に潜む怪事

  • ミステリ

泉鏡花 1911年(明治44年)2月

文字数
15,974字
読了目安
約32分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

泉鏡花の短編。末尾に「明治四十四(一九一一)年二月」とある。寒い季節の山の手の大通りに並ぶ露店の賑わいを、古着屋や古道具屋、食べ物屋、口上を述べる香具師たちの声まで、細かく描き込む。夜が更けるころ、玩具を売る片腕の婦人や、膃肭臍売りをめぐる思いがけない出来事が持ち上がる。題名の「露肆」は夜店のこと。

あらすじ

寒くなると、山の手の大通りの露店には古着屋が増え、古道具屋、食べ物屋、薬売り、救世軍の演説まで、さまざまな店が並ぶ。人の群れと口上の声、灯火のゆらめきを、作者は一つひとつ拾い上げて描き出す。夜が更けると、「技師」と名乗る男が、玩具を売る片腕のない婦人の店先に現れ、その傷口を思い浮かべて動揺する。続いて、膃肭臍を売る男が、大きな出刃で膃肭臍の肉を剥がしながら商いをする。やがて技師が膃肭臍屋に昨夜の騒ぎを尋ねると、膃肭臍屋は、誰かが突然調べに来て、膃肭臍の中に真っ白な女の片腕があると言って捜したのだと不満を漏らす。

登場人物

冒頭部(原文より)

寒くなると、山の手大通りの露店に古着屋の数が殖える。半纏、股引、腹掛、溝から引揚げたようなのを、ぐにゃぐにゃと捩ッつ、巻いつ、洋燈もやっと三分心が黒燻りの影に、よぼよぼした媼さんが、頭からやがて膝の上まで、荒布とも見える襤褸頭巾に包まって、死んだとも言わず、生きたとも言わず、黙って溝のふちに凍り着く見窄らしげな可哀なのもあれば、常店らしく張出した三方へ、絹二子の赤大名、鼠の子持縞という男物の袷羽織。

「露肆」泉鏡花(青空文庫)

末尾部(原文より)

「どうですか、膃肭臍屋さん。」 「いや、」  とただ言ったばかり、不愛想。  技師は親しげに擦寄って、 「昨夜は、飛んだ事でしたな……」 「お話になりません。」 「一体何の事ですか、」 「何やいうて、彼やいうて、まるでお話しにならんのですが、誰が何を見違えたやら、突然しらべに来て、膃肭臍の中を捜すんですぞ、真白な女の片腕があると言うて。」……

「露肆」泉鏡花(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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