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家じゅうの人たちの言ったこと(アンデルセン)のあらすじ・登場人物

人生は美しい物語

  • 家族
  • 翻訳

アンデルセン 訳者 矢崎源九郎 

文字数
3,252字
読了目安
約7分
表記
新字新仮名

この作品について

アンデルセンが1870年7月に発表した短い童話(原題 Hvad hele Familien sagde)を、北欧文学者の矢崎源九郎が訳したもの(新潮文庫『マッチ売りの少女 アンデルセン童話集Ⅲ』)。晩年の作品で、ある家の誕生日の日に、一階から屋根裏までに住む家族それぞれが、人生をどう感じているかを順に聞かせていく。事件らしい事件は起こらず、年齢の違う人々の言葉を通して、人生を肯定する一つの考え方が示される、静かな小品。

あらすじ

マリーちゃんの誕生日、家じゅうの人たちはなんと言ったか。マリーちゃんは、毎日生きていくのがとても楽しいと言い、名づけ親は、それをいちばん美しい物語だと言う。隣の部屋では、九つと十一のにいさんたちが、探検や冒険に胸をふくらませている。二階には、十七、二十、二十五の三人の息子たちがいて、それぞれ好きなものになろうとしている。年かさの両親は、世の中は若い人が思うようなものではないが、人生はふしぎでおもしろい物語だと言う。屋根裏部屋には、世界じゅうを旅して、たくさんの話を知っている年とった名づけ親が住んでいる。名づけ親は、聖書を書物の中の書物だと言い、若いころには泣いた目にも、いまは光が差していると語る。そして、神さまがいつもついていてくださることが、年を重ねるほどによく分かると言う。家じゅうの人が、同じことを口にし、だれよりも先に名づけ親が、人生こそいちばん美しい物語だと言った。

冒頭部(原文より)

 家じゅうの人たちは、なんと言ったでしょうか? まずさいしょに、マリーちゃんの言ったことを聞きましょう。  その日は、マリーちゃんのお誕生日でした。マリーちゃんにとっては、いちばん楽しい日のような気がしました。小さなお友だちが、大ぜいあそびにきました。マリーちゃんは、いちばんきれいな着物を着ました。その着物は、いまでは神さまのところにいらっしゃるおばあさまから、いただいたものでした。おばあさまは、明るい美しい天国にいらっしゃるまえに、自分でこの着物をたって、ぬってくださったのです。  マリーちゃんのお部屋の机の上は、いろんな贈り物で、ピカピカかがやいていました。たとえば、この上もなくかわいらしいお台所。それには、ほんとのお台所にいるものが、のこらずついていました。それから、お人形。このお人形は、おなかを押すと、目をくるくるまわして、キューッ、と、いいました。そのほか、すてきにおもしろいお話の書いてある絵本もありました。もっとも、それには、字が読めなければ、だめですけど。

「家じゅうの人たちの言ったこと」アンデルセン(青空文庫)

末尾部(原文より)

ところが、いまは、わしのまわりにも、わしの心のなかにも、お日さまが光りかがやいている。人間というものは、年をとればとるほど、不幸にせよ、幸福にせよ、神さまがいつもついていてくださること、そして、この人生こそ、いちばん美しい物語だということが、よくわかってくるのだ。これは、神さまだけが、われわれにおあたえくださることができるのだ。そして、これは、永遠につづくのだよ!」 「一日一日、生きていくことが、とっても楽しいわ!」と、マリーちゃんは言いました。  小さい子も、大きい子も、同じことを言いましたし、おとうさんとおかあさんも、言いました。家じゅうの人たちが、そう言いました。けれども、だれよりもさきに、名づけ親がそう言いました。名づけ親は、世の中のことをたくさん知っていて、みんなの中で、いちばん年をとっていました。どんなお話でも、どんな物語でも知っていますよ。その名づけ親が、心の底から、こう言ったのです。 「人生こそ、いちばん美しい物語だよ!」

「家じゅうの人たちの言ったこと」アンデルセン(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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