海城発電(泉鏡花)のあらすじ・登場人物
赤十字の看護員と軍夫
- 歴史
- 心理
- 文字数
- 12,049字
- 読了目安
- 約24分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
泉鏡花の初期作。日清戦争下の満洲を舞台に、敵に捕らわれ、のち感謝状を受けて帰った赤十字社の看護員が、日本の軍夫たちから国賊と責められる。愛国心と人道の対立を扱った初期の一編。明治29年(1896)1月、「太陽」に掲載された。
あらすじ
日清戦争の満洲、清国の富豪柳氏の家の一室。赤十字社の看護員神崎愛三郎は、軍夫たちに取り囲まれ、百人長の海野から詰問される。神崎は、捕虜となった間に敵兵を看護して感謝状を受け取ったが、日本軍の内情は聞こうともしなかったと言う。海野らは国賊と責めるが、神崎は、自分は戦闘員ではなく看護員で、敵味方の区別なく病傷兵を救うのが務めだと述べ、少しも動じない。業を煮やした海野たちは、神崎を慕って病床にある清国の娘李花を引き出し、辱めると脅して態度を変えさせようとする。神崎は静かに言葉を残して立ち去り、のこされた李花は命を落とす。黒衣の外国人が一部始終を見ており、電信用紙に、日本軍には赤十字の義務を果たして敵から感謝状を送られた国賊もいれば、敵愾心から清国の病む婦人を辱めた愛国の軍夫もいる、と書きつける。
登場人物
- 神崎愛三郎 赤十字社の看護員
- 海野 軍夫を率いる百人長
- 李花 清国の富豪柳氏の娘。神崎を慕い病床にある
- じょん、べるとん 電報を打つ英国の新聞記者
冒頭部(原文より)
「自分も実は白状をしようと思ったです。」 と汚れ垢着きたる制服を絡える一名の赤十字社の看護員は静に左右を顧みたり。
「海城発電」泉鏡花(青空文庫)
末尾部(原文より)
予は目撃せり。 日本軍の中には赤十字の義務を完して、敵より感謝状を送られたる国賊あり。然れどもまた敵愾心のために清国の病婦を捉えて、犯し辱めたる愛国の軍夫あり。委細はあとより。
「海城発電」泉鏡花(青空文庫)
原文を読む
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