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神、国王、国家(ガンディー)のあらすじ・登場人物

少年団の制服から問う忠誠

  • 社会
  • 翻訳

ガンディー 訳者 福永渙 1930年(昭和5年)

文字数
1,180字
読了目安
約2分
表記
旧字旧仮名

この作品について

ガンジーが週刊紙『ヤング・インディア』の1921年3月23日号に書いた短い文章。旅の途中の駅で出会ったボーイスカウトの少年たちとの問答を記し、「神と国王と国家のため」という誓いを題材に、不正を悔い改めない国家への忠誠と神への忠誠は両立するのかを問う。1919年のアムリットサルでの虐殺事件が問答の軸になっている。ガンジーの論説・書簡を福永渙が訳して集めた『ガンヂーは叫ぶ』(1930年)に収められた。

あらすじ

巡歴中のガンジーは、外国製の羅紗の制服を着た少年たちに出会う。スカウトとして神と国王と国家のために働いていると答える少年に、彼は、1919年4月13日のジャリアンワラ事件の場でダイヤー将軍から同胞を撃てと命じられたらどうするかと尋ねる。少年は従わないと答え、将軍は役所の人で自分とは関係がないと言うが、ガンジーは、国王とは大英帝国を表す存在で役所と切り離せないこと、悪を悔い改めない国家に忠誠を尽くすことは神に不忠実であることを説く。少年たちの隊長にも同じ議論を繰り返したところで汽車は発車し、ガンジーは、人の信条はただ一つ神への忠誠であり、国王や国家への忠誠はそれと矛盾しないときにだけ含まれるのだとして、青年たちが自分の信条を問い直すことを望む。

冒頭部(原文より)

 私は嘗つて巡歴中に制服を着た少年に出遭つたので、その制服は何の服であるかと尋ねた。私はその制服が外國製の布、即ち外國製の羅紗で作つてあるのを見た。少年たちは、これはスカウツの制服であると云つた。その答は私の好奇心を煽つた。私は彼等がスカウツとしてどんな働きをしたかを知りたいと思つた。彼等は、自分たちは、神と、國王と、國家のために働いてゐるのだと答へた。 「君たちの國王とは誰か。」と私が尋いた。 「キング・ジヨージです。」といふ答である。 「それでは、ジヤリアンワラ事件をどう思ふか。若し君たちが一九一九年四月十三日にあの場處にゐて、ダイヤー將軍から君たちの慴えてゐる同胞を射撃せよと命ぜられたら、君たちはどうしたか。」 「勿論、私はそんな命令には從はなかつたでせう。」 「しかし、ダイヤー將軍は國王の定めた制服を着てゐるではないか。」 「ええ、けれども、將軍は役所の人です、私は役所とは關係はありません。」

「神、国王、国家」ガンディー(青空文庫)

末尾部(原文より)

 この少年の多くの友達は、この會話に深い興味を有つた。彼等の隊長もやつて來た。私は彼にも私の論斷を繰返し、彼が導いてゐる少年たちの何事にも疑問を抱きたがる心を刺戟するやうに頼んだ。興味深き議論は盡きなかつたが、汽車は停車場を發車してしまつた。私は立派な少年たちのために氣の毒に感じた、そして「非協同」運動の深い意味を一層よく理解した。人々はただ一つの普遍的信條があるだけだ、即ち神への忠誠である。その信條は、それが矛盾しない時は、國王、國家、及び人道への忠誠を含んでゐるのだ。けれども、それは往々にして他のすべてのものを除外する。私は我が國の青年が彼等の信條を調べて見て、若しそれが間違つてゐると信じたらそれを正しくすることを望むものである。若い人たちの精神が研究に耐へ得ないやうな形式に當てはめられることは、小さな問題ではない。

「神、国王、国家」ガンディー(青空文庫)

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