金の輪(小川未明)のあらすじ・登場人物
金の輪をまわす見知らぬ少年
- 心理
- 文字数
- 1,642字
- 読了目安
- 約3分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
小川未明が1919年(大正8年)、「読売新聞」に発表した掌編童話。長い病から起き上がれるようになった少年・太郎が、金の輪をまわして走ってゆく見知らぬ美しい少年の姿を、二日つづけて目にする。夕焼け空の赤と、金の輪の輝きをめぐる幻想的な情景を、未明が短い筆に凝縮した名品である。
あらすじ
長い間、病気で臥せっていた太郎は、ようやく床から離れて外へ出られるようになった。まだ三月の末で、朝晩は寒いので、日の当たっている間だけ外へ出るよう、母親から言いきかされていた。ある日の夕方、太郎は、金の輪をまわしながら往来を走ってゆく、見知らぬ美しい少年の姿を目にする。二つの金の輪はきらきらと日に輝いていた。少年はにこにこと太郎の顔を見て、なつかしそうに走り過ぎてゆく。次の日も、同じ時刻に、同じように少年は金の輪をまわして走っていった。太郎は、あの少年と友だちになりたい、金の輪を一つ分けてもらって、二人でどこまでも走ってゆきたい、としきりに思うのだった。その晩、太郎は母親に少年のことを語ったが、母は信じなかった。やがて太郎は、少年と友だちになり、金の輪をもらって往来を二人で走ってゆき、いつしか赤い夕焼け空の中に入ってしまう夢を見る。そして明くる日から、太郎はまた熱を出し、二、三日めに、七つで亡くなってしまった――。幼い命のはかなさと、死のかなたへ通じる幻想的な美しさを、未明が短い筆に凝縮した名品である。
登場人物
- 太郎 長い病からようやく起き上がれるようになった少年。金の輪をまわす美しい少年に憧れ、夢に見たのち、再び熱を出して七つで世を去る
- 金の輪の少年 太郎が二日つづけて目にする、金の輪をまわして走る見知らぬ美しい少年。夢のなかで太郎とともに夕焼け空へ消えてゆく
冒頭部(原文より)
太郎は長い間、病気で臥していましたが、ようやく床から離れて出られるようになりました。けれどまだ三月の末で、朝と晩には寒いことがありました。 だから、日の当たっているときには、外へ出てもさしつかえなかったけれど、晩方になると早く家へ入るように、お母さんからいいきかされていました。
「金の輪」小川未明(青空文庫)
末尾部(原文より)
その晩、太郎は母親に向かって、二日も同じ時刻に、金の輪をまわして走っている少年のことを語りました。母親は信じませんでした。 太郎は、少年と友だちになって、自分は少年から金の輪を一つ分けてもらって、往来の上を二人でどこまでも走ってゆく夢を見ました。そして、いつしか二人は、赤い夕焼け空の中に入ってしまった夢を見ました。 明くる日から、太郎はまた熱が出ました。そして、二、三日めに七つで亡くなりました。
「金の輪」小川未明(青空文庫)
原文を読む
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