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海が呼んだ話(小川未明)のあらすじ・登場人物

また海へ帰って、もぐりたくなった

  • 心理

小川未明 1939年(昭和14年)7月 「日本の子供」

文字数
3,700字
読了目安
約7分
表記
新字新仮名

この作品について

自転車屋のおじさんが田舎へ帰ることになり、そのあとに海から来た人が店に入る——町の子どもたちの目を通して、人が去り人が来る町の暮らしを描いた小川未明の小品。海にもぐっていた人が陸で体をこわし、また海へ帰りたくなる、という一節が静かに残る。

あらすじ

自転車屋のおじさんが、こんど田舎へ帰ることになった。清吉や正二にとって親しみの深いおじさんで、三輪車の修繕もゴムまりのパンクも直してくれたし、その家の勇ちゃんとは友だちでもある。田舎の祖父が年をとって一人にしておけないから、父が帰ることにしたのだという。「僕も、お母さんも、いきたくないんだよ」と勇ちゃんは言うが、清吉も正二も、勇ちゃんの父を親孝行だと思った。この家には親類の叔父さんが入ることになっていて、勇ちゃんはまた遊びに来るという。やがて新しく店に入った人は、海でもぐりをしていた人だった。潜水の仕事で鍛えた体を持ちながら、陸に上がりきってしまうと体がきかなくなる——「もぐってきたものが、陸へ上がりきってしまうと体がきかなくなって怖ろしいことだな」。そう言って、おじさんはまた海へ帰ってもぐりたくなったと打ち明ける。そうすれば体も丈夫になるという。「そうしたら二人とも遊びにきな。浜は風があって、夏は涼しいぜ。えびでもたこでも、新しい魚を食べさせるから」。店はまた前の人たちが戻って入るだろうという。それを聞いた正二は「そんなら、また、勇ちゃんと遊べるんだね」とにっこりした。だが店を出た清吉は、歩きながら正二をかえりみて言うのだった。「僕、おじさんに別れるの、悲しいや」。とんぼが、飛んでいました。

登場人物

冒頭部(原文より)

 自転車屋のおじさんが、こんど田舎へ帰ることになりました。清吉や、正二にとって、親しみの深いおじさんだったのです。三輪車の修繕もしてもらえば、ゴムまりのパンクしたのを直してもくれました。また、その家の勇ちゃんとはお友だちでもありました。おじさんは、犬や、ねこが好きでした。いい人というものは、みんな生き物をかわいがるとみえます。

「海が呼んだ話」小川未明(青空文庫)

末尾部(原文より)

「そんなら、また、勇ちゃんと遊べるんだね。」と、正二は、にっこりしました。店を出ると、 「僕、おじさんに別れるの、悲しいや。」と、清吉は、歩きながら、正二をかえりみて、いいました。  とんぼが、飛んでいました。

「海が呼んだ話」小川未明(青空文庫)

原文を読む

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