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烏の北斗七星(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

烏の軍隊と北斗七星への祈り

  • 幻想

宮沢賢治 1924年(大正13年)12月 「イーハトヴ童話 注文の多い料理店」

文字数
4,801字
読了目安
約10分
表記
新字新仮名

この作品について

宮沢賢治の生前唯一の童話集『注文の多い料理店』に収められた短編。雪の野に集う烏の「義勇艦隊」を、軍艦の編成になぞらえて描く。号令や大砲といった軍隊のことばを烏の世界へ持ち込む可笑しさの奥に、戦って相手を倒すことの重さを見つめる賢治の問いがある。結びで北斗七星に向けて捧げられる祈りは、この作品を読む多くの人の記憶に残る。

あらすじ

雪の田圃に仮泊していた烏の義勇艦隊は、年老いて声の錆びた大監督の号令で演習に飛び立つ。演習を終えた若い艦隊長の烏の大尉は、さいかちの木で待っていた許嫁の砲艦のもとへ向かい、明日は山烏を追いに行くことになったと告げる。戦争のことだから何があるか分からない、そのときは約束は消えたものとして外へ嫁いでくれ、と言うと、許嫁は泣き出してしまう。翌日、戦闘は大尉の側の勝ちとなり、山烏は捕らえられる。ところが大尉は、倒した敵のことを思って心を痛め、夜空の北斗七星に向かって祈る。自分のように敵を殺さなければ生きていけない者が、いつかほんとうの幸のために身を捨てられるようにしてほしい、と。烏の軍隊の戯画として始まった話は、勝者の悲しみと祈りの物語へと静かに変わってゆく。

冒頭部(原文より)

 つめたいいじの悪い雲が、地べたにすれすれに垂れましたので、野はらは雪のあかりだか、日のあかりだか判らないようになりました。  烏の義勇艦隊は、その雲に圧しつけられて、しかたなくちょっとの間、亜鉛の板をひろげたような雪の田圃のうえに横にならんで仮泊ということをやりました。

「烏の北斗七星」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

 美しくまっ黒な砲艦の烏は、そのあいだ中、みんなといっしょに、不動の姿勢をとって列びながら、始終きらきらきらきら涙をこぼしました。砲艦長はそれを見ないふりしていました。あしたから、また許嫁といっしょに、演習ができるのです。あんまりうれしいので、たびたび嘴を大きくあけて、まっ赤に日光に透かせましたが、それも砲艦長は横を向いて見逃がしていました。

「烏の北斗七星」宮沢賢治(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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