金時計(泉鏡花)のあらすじ・登場人物
懸賞金をめぐる少年の機知
- 冒険
- 社会
- 文字数
- 5,573字
- 読了目安
- 約11分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 神奈川県
この作品について
明治26年(1893年)6月、博文館の叢書「少年文学」の一冊『侠黒兒』として発表された初期の短編。鎌倉の洋館の門前に出された「金時計を拾った者に百円」という広告をめぐって、土地の人々の苦労と、傲慢な外国人への少年の痛快な応酬が描かれる。若き鏡花が書いた、勧善懲悪の読み物らしい作品。
あらすじ
相州西鎌倉長谷の洋館に別荘を構える西洋人へいげんが、門前に「昨夕、金時計を草の中に落としたので、拾った人に百円を与える」という広告を出す。土地の人々は競って草を刈り、一町四方が赤土になっても時計は見つからない。その夕、へいげんは洋妾と浜を歩き、時計は初めから持っていたと英語で語って日本人をあざける。通りがかった子爵家の少年三郎は、その英語を聞き取って憤り、従者の大助と、たまたま居合わせた掏摸の助けを借りて、へいげんの金時計を奪い取る。三郎は『時計を拾った』と屋敷を訪ねて百円を要求し、へいげんが渋ると、海から漁船に乗った草刈りの村人たちが『へいげん殺せ』と叫んで気勢を上げる。へいげんは百円を差し出し、三郎はそれを大助に渡して、みなに分けさせた。
登場人物
- へいげん 鎌倉の洋館に暮らす裕福な西洋人。講師を務める
- 三郎 十七歳の子爵家の少年。才気と正義感がある
- 大助 三郎の従者。南海生まれの勇ましい若者
- 洋妾 へいげんの愛人。英語の通訳をする
冒頭部(原文より)
これ相州西鎌倉長谷村の片辺に壮麗なる西洋館の門前に、今朝より建てる広告標なり。時は三伏盛夏の候、聚り読む者堵のごとし。 へいげんというは東京……学校の御雇講師にて、富豪をもって聞ゆる――西洋人なるが、毎年この別荘に暑を避くるを常とせり。
「金時計」泉鏡花(青空文庫)
末尾部(原文より)
大助は金貨を捧げて、高く示威運動艦隊に示しつつ、 「衆見ろ、髯から取ったこの百円を、若様が大勢に分けてやるとおっしゃる。」 その声いまだ訖らざるに、どっと興る歓呼の声は天に轟き、狂喜の舞は浪を揚げて、船も覆らむずばかりなりし。
「金時計」泉鏡花(青空文庫)
原文を読む
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