アプリで読む

無料・登録不要

甲乙(泉鏡花)のあらすじ・登場人物

二人の女の幻と蚊帳の目

  • 怪奇
  • 恋愛

泉鏡花 1925年(大正14年)1月 「女性」

文字数
22,809字
読了目安
約46分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 神奈川県

この作品について

大正14年(1925年)1月、「女性」に発表された。湘南の宿に逗留する語り手が、新しい知己の秋庭俊之から聞いた話を書き留めるという体裁をとる。幼いころから人生の節目に現れる円髷と銀杏返しの二人の女の幻と、震災で傾いた海辺の旅籠、そこで出会う娘分の女性とのできごとが、暑い夏の描写とともに語られる。副題のように、姉と妹の対になった女たちのイメージが全篇を貫く。

あらすじ

湘南の宿に逗留する語り手が、知己となった秋庭俊之から聞いた話を記す。秋庭は幼いころから、人生の節目ごとに、品のよい円髷の姉と、少し年下で背の低い銀杏返しの妹、二人の女の姿を見てきた。八月、東京駅で、円髷と銀杏返しの芸妓二人と待ち合わせ、混雑した汽車で海辺の旅籠水戸屋へ向かう。宿は震災で傾き、入江は泥田と化していたが、秋庭は出迎えた娘分のお由紀の淑やかさに惹かれる。その夜、古い蚊帳の穴が一斉に人の目になって覗き、続いて裏階段に立つ女の影におびえた秋庭は、扱帯を継いで宙づりになったお由紀を抱きとめる。お由紀は自殺ではなく、心に映る二階の様子を確かめに目隠しのまま上がったのだった。後日、お由紀は急な眼病で盲目となり、秋庭の保養の旅に付き添って語り手の宿に来る。

登場人物

冒頭部(原文より)

 先刻は、小さな女中の案内で、雨の晴間を宿の畑へ、家内と葱を抜きに行った。……料理番に頼んで、晩にはこれで味噌汁を拵えて貰うつもりである。生玉子を割って、且つは吸ものにし、且つはおじやと言う、上等のライスカレエを手鍋で拵える。

「甲乙」泉鏡花(青空文庫)

末尾部(原文より)

 と言いかけて、無邪気に、握拳で目を圧えて、渠は落涙したのである。  涙はともに誘われた。が、聞えるスリッパの跫音にも、その(二人の婦)にも、著者に取っては、何の不思議も、奇蹟も殆ど神秘らしい思いでのないのが、ものたりない。……

「甲乙」泉鏡花(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品