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茸の舞姫(泉鏡花)のあらすじ・登場人物

茸の姫君が舞う山の宴

  • 幻想
  • 怪奇

泉鏡花 1918年(大正7年)4月

文字数
11,907字
読了目安
約24分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 石川県

この作品について

茸の精たちの宴を描いた幻想小説。1918年(大正7年)4月に発表された。半ば白痴で半ば狂人と町の人に言われる杢若は、時おり姿を消しては山の「実家」へ帰り、茸の姫君に仕えているという。秋祭りの夜、彼が語る絢爛たる宴の情景と、町に起こる怪異とが響き合っていく。きのこを描いた鏡花の作品のなかでも代表作として知られる一篇。

あらすじ

秋祭りの神社の境内で、町内の杢若は古筵に青竹を立て、蜘蛛の巣をいくつも搦ませただけの奇妙な店を出して「綺麗な衣服だよう」と言っている。もとは町の医師の家の書生兼小使であった彼は、火食をせず木の実と茸を糧とし、時おり幾日も町から姿を消しては、山の「実家」へ帰るのだという。祭の夜、天狗と般若と狐の面をつけた三人の山伏が現れて舞い、杢若はその囃子に合わせて山の宴を語りはじめる。女郎蜘蛛が錦を捧げ、土蜘蛛や山蛭が燈をともし、千人の侍女を従えた茸の姫君が舞う——やがて社司の身に異変が起こり、十日を措かず、町内の娘が白昼に素裸で格子を抜け出していく。

登場人物

冒頭部(原文より)

「杢さん、これ、何?……」  と小児が訊くと、真赤な鼻の頭を撫でて、 「綺麗な衣服だよう。」  これはまた余りに情ない。町内の杢若どのは、古筵の両端へ、笹の葉ぐるみ青竹を立てて、縄を渡したのに、幾つも蜘蛛の巣を引搦ませて、商売をはじめた。

「茸の舞姫」泉鏡花(青空文庫)

末尾部(原文より)

十日を措かず、町内の娘が一人、白昼、素裸になって格子から抜けて出た。門から手招きする杢若の、あの、宝玉の錦が欲しいのであった。余りの事に、これは親さえ組留められず、あれあれと追う間に、番太郎へ飛込んだ。  市の町々から、やがて、木蓮が散るように、幾人となく女が舞込む。  ――夜、その小屋を見ると、おなじような姿が、白い陽炎のごとく、杢若の鼻を取巻いているのであった。

「茸の舞姫」泉鏡花(青空文庫)

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