アプリで読む

無料・登録不要

ざしき童子のはなし(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

こんなのがざしき童子です

  • 怪奇
  • 幻想

宮沢賢治 1926年(昭和元年)2月 「月曜」

文字数
1,838字
読了目安
約4分
表記
新字新仮名
舞台
  • 岩手県

この作品について

岩手に伝わる座敷童子の言い伝えを、宮沢賢治が四つの短い挿話として書きとめた小品。誰もいない座敷でする箒の音、十人で遊んでいたはずが十一人になっていること——どれも「こんなのがざしき童子です」という一行で締められ、説明を加えないその素っ気なさが、かえって背筋を静かに冷たくする。

あらすじ

ぼくらの方の、ざしき童子のはなしです——そう語り出されて、四つの挿話が並ぶ。一つめ。明るい昼間、大人はみな山へ働きに出て、子どもが二人で庭に遊んでいると、家のどこかの座敷でざわっざわっと箒の音がする。肩を組んでこっそり見に行っても、どの座敷にも誰もいない。ただお日さまの光ばかりが降っている。二つめ。「大道めぐり、大道めぐり」と叫びながら十人の子が手をつないで座敷をぐるぐる回っていると、いつのまにか十一人になっている。知らない顔も同じ顔もないのに、どう数えても十一人。ふえた一人がざしきぼっこだと大人が言うが、みんな自分だけは違うと、一生けん命目を張ってきちんと座っていた。三つめ。如来さまの祭りに、はしかで寝ていた子が「行きたい」と言い続けていた——祭りの座敷にはその子とそっくりの子がいて、しかし当の子は家で寝ていたという話。四つめ。船頭が語る。旧暦八月十七日の晩、向こう岸から呼ばれて舟を出すと、紋付に袴の美しい子どもが乗ってきた。どこから来てどこへ行くのかと尋ねると、「そこの笹田のうちにずいぶんながくいたけれど、もうあきたから他へ行くよ。更木の斎藤へ行くよ」と答えた。それから笹田は落ちぶれ、更木の斎藤はめきめき立派になったという——こんなのがざしき童子です。

冒頭部(原文より)

 ぼくらの方の、ざしき童子のはなしです。  あかるいひるま、みんなが山へはたらきに出て、こどもがふたり、庭であそんでおりました。大きな家にだれもおりませんでしたから、そこらはしんとしています。  ところが家の、どこかのざしきで、ざわっざわっと箒の音がしたのです。

「ざしき童子のはなし」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

岸についたら子供はもういず、おらは小屋の入口にこしかけていた。夢だかなんだかわからない。けれどもきっと本当だ。それから笹田がおちぶれて、更木の斎藤では病気もすっかり直ったし、むすこも大学を終わったし、めきめき立派になったから」  こんなのがざしき童子です。

「ざしき童子のはなし」宮沢賢治(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品