青蛙堂鬼談(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物
雪の夜、十二人が語る怪異
- 怪奇
- 幻想
- 文字数
- 121,486字
- 読了目安
- 約4時間3分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 東京都
この作品について
岡本綺堂の代表的な怪談集。三月三日、麻布の高台に住む青蛙堂主人のもとへ招かれた十二人の客が、雪の降る一夜、順ぐりに自らの見聞した怪異を語っていくという百物語形式をとる。青蛙神、利根の渡、兄妹の魂、蟹、清水の井、笛塚、龍馬の池——江戸から明治にかけての市井に取材した話が多く、声高に恐怖をあおらず、しめやかな語り口のうちに底冷えのする気配を漂わせる。「半七捕物帳」と並ぶ綺堂の到達点であり、日本の近代怪談の古典とされる。
あらすじ
三月三日の午ごろ、一通の速達が「わたし」の家に投げ込まれた。麻布に住む青蛙堂主人からの案内で、支那渡来の青蛙神を手に入れたのを機に、今宵ひとつ怪談の会を催したいという。降りしきる雪をおして集まったのは、老若男女とりまぜて十二人。まず主人が青蛙神にまつわる支那の奇譚を語り、それを皮切りに、客たちがめいめいの体験を披露していく。利根の渡しで座頭が出会った奇怪な夜。互いの魂が入れかわったとしか思えない兄妹の話。血のように赤い蟹。禁を破って覗いた清水の井。笛の音がとまらぬ塚。池に沈んだ馬の怨念——。語り手が代わるたびに座は冷え、話はいよいよ暗い方へと傾いていく。最後に主人が写した写真には、あるはずのない少年の姿が朦朧と映っていた。怪異は座談のなかにとどまらず、この一夜そのものへとしのび寄っていたのである。
登場人物
- わたし 青蛙堂の怪談会に招かれた語り手
- 青蛙堂主人 麻布の高台に住み、青蛙神を得て怪談の会を催す
- 十二人の客 おのおの自らの見聞した怪異を語る男女
冒頭部(原文より)
青蛙神 一 「速達!」 三月三日の午ごろに、一通の速達郵便がわたしの家の玄関に投げ込まれた。
「青蛙堂鬼談」岡本綺堂(青空文庫)
末尾部(原文より)
ここにまた、不思議に存じられ候は、当日小生が撮影五枚のうち、一枚には少年のすがた朦朧とあらわれおり候ことに御座候。それは影のように薄く、もちろんはっきりと相分り兼ね候えども、それがどうも昌吉の姿らしくも思われ申候。 貴下御撮影の分はいかが、現像の結果御しらせ下され候わば幸甚に存じ候。 まずこんな意味であったので、わたしも取りあえず自分の撮影した分を現像してみましたが、どこにも人の影らしいものなどは見いだされませんでした。横田君の写真にはどういう影があらわれているのか、その実物を見ないのでよく判りません。
「青蛙堂鬼談」岡本綺堂(青空文庫)
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