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木の子説法(泉鏡花)のあらすじ・登場人物

狂言の茸と母の乳

  • 怪奇
  • 幻想

泉鏡花 1930年(昭和5年) 「文藝春秋」

文字数
17,107字
読了目安
約34分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

昭和5年(1930年)の作で、「文藝春秋」に発表されたと伝えられる。麻布界隈で偶然入った素人の能・狂言の会で、能楽の狂言「茸」が思わぬ展開を見せる。魚説法の狂言から幕を開け、山伏と茸のやりとり、舞台に這い出した幼子と、現実と芸の境が崩れていく。震災を生き延びた女性の哀しみを、舞台の上の出来事として描く。

あらすじ

語り手は画工の毛利一樹に誘われ、麻布我善坊近くの貸席で開かれていた素人の能・狂言の会をのぞく。番組には、山伏が茸のもののけに悩まされる狂言『茸』がある。一樹がこの曲を見たがった様子には、何か訳がありそうだった。『魚説法』の次に『茸』が始まり、茸の面を着けた者たちが舞台にふえるなか、女の山伏が現れる。毒々しい大茸が襲いかかろうとしたとき、幕の裾から幼い女の子が這い出して山伏の裾にからみつく。山伏は演目にない『焼き食おう』の声とともに茸たちを打ち据え、客席は凍りつく。一樹が舞台に走り、女は片肌を脱いで、五つになっても足腰の立たない子を自らの乳と血で養ってきた母だと明かす。母は子に乳首を含ませ、噛み切って倒れる。子は今、一樹の手で健やかに育っている。

登場人物

冒頭部(原文より)

「――鱧あみだ仏、はも仏と唱うれば、鮒らく世界に生れ、鯒へ鯒へと請ぜられ……仏と雑魚して居べし。されば……干鯛貝らいし、真経には、蛸とくあのく鱈――」  ……時節柄を弁えるがいい。蕎麦は二銭さがっても、このせち辛さは、明日の糧を思って、真面目にお念仏でも唱えるなら格別、「蛸とくあのく鱈。

「木の子説法」泉鏡花(青空文庫)

末尾部(原文より)

老人だから、楽屋で急病が起って、踊の手練が、見真似の舞台を勤めたというので、よくおわかりになろうと思う。何、何、なぜ、それほどの容色で、酒場へ出なかった。とおっしゃるか? それは困る、どうも弱ったな。一樹でも分るまい。なくなった、みどり屋のお雪さんに……お聞き下さい。

「木の子説法」泉鏡花(青空文庫)

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原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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