コウノトリ(アンデルセン)のあらすじ・登場人物
ひな鳥たちの仕返し
- 幻想
- 翻訳
- 文字数
- 6,216字
- 読了目安
- 約12分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
アンデルセンが1839年10月に発表した童話(原題 Storkene)を、北欧文学者の矢崎源九郎が訳したもの(新潮文庫『マッチ売りの少女 アンデルセン童話集Ⅲ』)。村の家の屋根の巣で育つコウノトリのひな鳥たちが、男の子たちにからかわれる歌に腹を立て、仕返しを考える。コウノトリが赤ん坊を運んでくるというヨーロッパの言い伝えを取り入れ、飛ぶ練習やエジプトへの渡りの描写をまじえた、動物たちの目から見た人間の子どもの話。
あらすじ
小さな村の家の屋根の巣で、コウノトリの母さんと四羽のひな鳥が暮らしている。通りの男の子たちは、コウノトリをからかう古い歌をうたい、ひな鳥たちはつるされたり焼き殺されたりするのかとおびえる。母さんは、聞き流すよう言い、飛ぶ練習を始める。ひな鳥たちは、歌をうたいだした子に仕返しをしたいと言いつのるが、母さんは、この国を発つ最後の日まで待つように言う。秋の大演習で、ひな鳥たちは優等賞をもらう。母さんは、仕返しの方法を思いつく。赤ん坊たちが眠っている池へ行き、コウノトリをからかわなかった子には弟や妹の赤ん坊を、最初に歌をうたいだした子には死んだ赤ん坊を連れていこうというのだ。ただひとり、動物をからかってはいけないと言って仲間に加わらなかったペーテルという子には、とくに赤ん坊を二人連れていってやることにする。それ以来、コウノトリはみなペーテルと呼ばれるようになった。
冒頭部(原文より)
ある小さな村の、いちばんはずれの家に、コウノトリの巣がありました。コウノトリのおかあさんは、巣の中で、四羽の小さなひな鳥たちのそばにすわっていました。ひな鳥たちは、小さな黒いくちばしのある頭を、巣の中からつき出していました。このひな鳥たちのくちばしは、まだ赤くなっていなかったのです。 そこからすこし離れた屋根の頂きに、コウノトリのおとうさんが、からだをまっすぐ起して、かたくなって立っていました。おとうさんは、かたほうの足を、からだの下に高く上げていました。こうして、見張りに立っているあいだは、すこしぐらい、つらい目にもあわなくては、と思ったからでした。おとうさんは、木でほってあるのかと思われるほど、じっと立っていました。
「コウノトリ」アンデルセン(青空文庫)
末尾部(原文より)
「そのお池には、死んだ夢を見ている、死んだ赤ちゃんもいるのよ。だから、あの子のところへは、その死んだ赤ちゃんを連れていってやりましょう。あたしたちが死んだ弟を連れていけば、あの子は、きっと泣き出しますよ。けれど、あのいい子にはね、おまえたちも、きっと忘れてはいないでしょう、ほら、『動物をからかうのは、いけないことだ』と、言ったあの子ね、あの子のところへは、弟と妹を連れていってやりましょう。それから、あのいい子はペーテルという名前だから、おまえたちもみんな、ペーテルという名前にしてあげましょうね」 こうして、おかあさんの言ったとおりになりました。それから、コウノトリは、みんなペーテルという名前になりました。こういうわけで、いまでも、コウノトリは、ペーテルと呼ばれているんですよ。
「コウノトリ」アンデルセン(青空文庫)
原文を読む
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