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暗がりの乙松(山本周五郎)のあらすじ・登場人物

若者を送り出す人情の光

  • 歴史
  • 心理

山本周五郎 1936年(昭和11年)9月 「キング」

文字数
11,973字
読了目安
約24分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

山本周五郎が1936年(昭和11年)、「キング」に発表した人情もの。行き場のない若者・三次に、梅田屋宗兵衛が手をさしのべ、京へのぼって手に職をつけるようにと励ます。暗がりに生きる者へ注がれる、温かな人情の光を描いた一編である。

あらすじ

居合腰でそっと障子を開け、屋内のようすを聞きすましてから廊下へ忍び出る——そんな危うい暮らしをしていた三次。隣の部屋からは、さびのある良い声で「きりぎりす、袖も袂も濡れ縁に」と唄う声が聞こえてくる。暗がりに身を置き、行き場のない若者・三次のもとへ、梅田屋宗兵衛という人物が、温かな手をさしのべる。「さあ行こう、京へのぼって手に職がついたらそう云ってよこすがいい、店を出すくらいの金は都合してあげよう」——宗兵衛の言葉は、温かく力強く、三次の胸へ滲み込んでいく。三次は、無言のまま、万感あふれ出る眼で、じっと宗兵衛の横顔を見つめる。遠くから聞こえる蛙の声——。道を踏み外しかけた若者に注がれる、人の情のあたたかさを描いた、山本の人情ものである。

登場人物

冒頭部(原文より)

 居合腰になってすーと障子を明ける、そのまましばらく屋内のようすを聞きすましてから、そっと廊下へ忍び出た。とたんに、 きりぎりす    袖も袂も濡れ縁に  隣の部屋から、さびた良い声で唄いだすのが聞えてきた。

「暗がりの乙松」山本周五郎(青空文庫)

末尾部(原文より)

「さあ行こう、京へのぼって手に職がついたらそう云ってよこすがいい、店を出すくらいの金は都合してあげよう」  三次は無言のまま、万感あふれ出る眼で、じっと梅田屋宗兵衛の横顔を覓めた。――遠音の蛙。

「暗がりの乙松」山本周五郎(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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