黒ぶだう(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
仔牛と狐の留守宅探検
- 幻想
- 文字数
- 2,044字
- 読了目安
- 約4分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
宮沢賢治の短い童話。退屈した仔牛が赤狐に誘われ、留守らしい公爵の別荘に入り込み、白い皿に載った黒ぶどうを食べる。悪びれない狐と、気が進まないままついて歩く仔牛の対照が、会話の調子だけで描かれ、物語は場面の途中で切れるように終わる。
あらすじ
仔牛が柵のそばで退屈していると、通りかかった赤狐が散歩に誘い、柵を持ち上げて抜け出させる。ふたりは樺林のなかのベチュラ公爵の別荘の前を通る。人気がないと見た狐は中に入ろうと言い、仔牛は怖がりながらついていくが、足音がうるさいと狐に何度も叱られる。書斎も衣装部屋もつまらないと素通りし、はしご段を上がった明るい部屋で、白い皿に黒ぶどうが二房置かれているのを見つける。狐は実を舐めては皮や種を絨毯に吐き出し、仔牛にもすすめる。そこへ階下から人の声と杖の音が近づく。狐は残りをひとなめしてバルコニーから逃げ、仔牛は出口へ急ぐが、上がって来た公爵と客に見つかってしまう。公爵は迷い込んだ牛の子だと言い、客の伯爵は誰かが種を床に散らしたと言い、その娘は牛の子にリボンを結んでやると笑う。
登場人物
- 仔牛 生えたばかりの角をもつ臆病な牛の子
- 赤狐 仔牛を誘い出す、すばしこい狐
- ベチュラ公爵 別荘の主。鼻眼鏡をかけた背の高い人
- ヘルバ伯爵 別荘に泊まりに来ていた公爵の友人
冒頭部(原文より)
仔牛が厭きて頭をぶらぶら振ってゐましたら向ふの丘の上を通りかかった赤狐が風のやうに走って来ました。 「おい、散歩に出ようぢゃないか。僕がこの柵を持ちあげてゐるから早くくぐっておしまひ。」 仔牛は云はれた通りまづ前肢を折って生え出したばかりの角を大事にくぐしそれから後肢をちゞめて首尾よく柵を抜けました。二人は林の方へ行きました。 狐が青ぞらを見ては何べんもタンと舌を鳴らしました。
「黒ぶだう」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
「おや、牛の子が来てるよ。迷って来たんだね。」せいの高い鼻眼鏡の公爵が段をあがって来て云ひました。 「おや、誰か葡萄なぞ食って床へ種子をちらしたぞ。」泊りに来て居た友だちのヘルバ伯爵が上着のかくしに手をつっこんで云ひました。 「この牛の仔にリボン結んでやるわ。」伯爵の二番目の女の子がかくしから黄いろのリボンを出しながら云ひました。
「黒ぶだう」宮沢賢治(青空文庫)
原文を読む
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