車(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
遊びながらの荷運び
- 風刺
- 文字数
- 2,941字
- 読了目安
- 約6分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
宮沢賢治の短い童話。町かどで仕事を待つ荷かつぎのハーシュが、兵営の普請のためにテレピン油を工場へ取りに行くことになる。道中で空気銃を持った子供を車に乗せたことから、車輪のくさびが抜けたり、縄をめぐって叱られたりと小さな出来事が重なる。仕事がいつのまにか遊びのように運んでゆく、のどかな一日が描かれる。
あらすじ
荷かつぎのハーシュは、午前中ずっと仕事がなく、弁当を食べていた。そこへ赤ひげの男が現れ、兵営の普請に使うテレピン油を工場から車で四罐取ってきてほしいと頼む。ハーシュは古い車を引いて松林の道を進み、空気銃を持った縮れ毛の子供に「乗せて」とせがまれて乗せてやる。道が細くなるにつれて車輪のくさびが抜けてしまう。縄を借りようと百姓の家へ行くと、おかみさんに「ひとのものを持って行くな」と叱られ、しょげて戻るが、くさびは道ばたのおおばこの中で見つかる。子供の忠告どおりすぐ先に小さな川があり、二本の松の橋を車で渡る。工場に着くと技師長に笑われ、ハーシュも笑う。遊びながらの仕事なら、午前中仕事がなかった損の埋め合わせには十分だと彼は思う。
登場人物
- ハーシュ 町かどで荷を運ぶ人夫
- 子供 水兵服で空気銃を持った縮れ毛の男の子
- 赤ひげの男 ハーシュに使いを頼む人
- 技師長 テレピン油の工場で職工も兼ねる人
冒頭部(原文より)
ハーシュは籠を頭に載っけて午前中町かどに立ってゐましたがどう云ふわけか一つも仕事がありませんでした。呆れて籠をおろして腰をかけ弁当をたべはじめましたら一人の赤髯の男がせはしさうにやって来ました。 「おい、大急ぎだ。兵営の普請に足りなくなったからテレピン油を工場から買って来て呉れ。そら、あすこにある車をひいてね、四罐だけ、この名刺を持って行くんだ。」
「車」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
技師長は子供に云ひました。 「どうも車が遅くてね。」 「それはいかんな。」技師長がわらひました。ハーシュもわらひました、ほんたうに面白かった、こんなに遊びながら仕事になるんなら今日午前中仕事がなくていやな気がしたののうめ合せにはたくさんだとハーシュは思ひました。
「車」宮沢賢治(青空文庫)
原文を読む
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