吸血鬼(江戸川乱歩)のあらすじ・登場人物
人界の悪魔と明智の闘争
- ミステリ
- 怪奇
- 文字数
- 190,585字
- 読了目安
- 約6時間21分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
江戸川乱歩が1930年(昭和5年)から翌年にかけて「報知新聞」に連載した長編。西洋の伝説になぞらえた「吸血鬼」——人界にひそむ悪魔のごとき復讐鬼が、隠れ家から青白い手をのばして美しい女を襲い、恐怖のどん底へと突き落とす。これに立ち向かうのが名探偵・明智小五郎。前作「魔術師」から引き継がれた明智と文代の物語も描かれる、明智小五郎シリーズの長編である。
あらすじ
一度埋葬された死者が鬼と化し、夜ごと墓を出て人の生血を吸う——西洋の伝説にいう「吸血鬼」。乱歩が描くのは、その伝説になぞらえた、人界にひそむ悪魔である。どことも知れぬ隠れ家から青白い触手をのばし、美しい女を次々と襲うこの怪人のために、被害者たちは底知れぬ恐怖に憔悴していく。可憐な女性たちを救おうと、名探偵・明智小五郎が、正体を秘めたこの復讐鬼との凄絶な闘いに挑む。事件の黒幕は、深い怨みに憑かれた復讐鬼・谷山三郎だった。巧妙な仕掛けをほどこした殺人の道具、追いつめられた末の身の毛もよだつ最期——長い死闘の果てに、明智はついに悪魔の正体を暴き、その妖術を打ち砕く。事件の解決とともに、新聞は、名探偵と、その恋人・文代との近々の結婚を報じる。前作「魔術師」から続いた明智と文代の物語は、ここに結ばれるのだった。怪奇と本格推理を融合させた、明智小五郎ものの長編である。
登場人物
- 明智小五郎 名探偵
- 谷山三郎 吸血鬼と呼ばれる復讐鬼
- 文代 明智の恋人。事件ののち明智と結婚する
冒頭部(原文より)
一度埋葬された死人が鬼と化して、夜な夜な墓場をさまよい出で、人家に忍び入って、睡眠中の人間の生血を吸い取り、不可思議な死後の生活を続ける場合がある。これが伝説の吸血鬼だ。被害者が血を吸われている最中に目覚めた時は、吸血鬼との間に身の毛もよだつ闘争が行われるが、多くは目覚めることなく、夜毎に生血を吸いとられ、痩せ衰えて死んで行く。
「吸血鬼」江戸川乱歩(青空文庫)
末尾部(原文より)
明智小五郎は、事件の殊勲者として、例によって新聞に書き立てられた。明智びいきの読者達は、その記事の最後に、近々名探偵とその恋人の文代さんとが結婚式を上げる旨記されているのを発見して、好意の微笑を禁じ得なかった。同時に、新婚の明智小五郎が、恐らく当分の間は、血なまぐさい探偵事件に手を染めないであろうことを、遺憾に思わないではいられなかった。
「吸血鬼」江戸川乱歩(青空文庫)
原文を読む
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