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魔法博士(江戸川乱歩)のあらすじ・登場人物

黄金怪人と地底の魔術

  • ミステリ
  • 冒険

江戸川乱歩 1956年(昭和31年)1月 「少年」

文字数
77,622字
読了目安
約2時間35分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

江戸川乱歩が光文社の月刊誌「少年」に1956年(昭和31)の1年間連載した、少年探偵団ものの長編。町かどにあらわれる「移動映画館」の自動車、金色にかがやく顔の黄金怪人、地底の国と、奇術めいた趣向が重なる。魔法のような出来事の種を小林少年がときあかしていく筋立てで、井上・野呂ら少年探偵団の仲間も活躍する。山下邸の金庫から宝物が消える謎と、大仏のような巨人の胎内をくぐる地下の冒険が読みどころ。

あらすじ

渋谷区の屋敷町で、少年探偵団員の井上一郎とノロちゃん(野呂一平)は、お菓子を売る「移動映画館」の小型自動車に出会う。あとをつけた二人は森の中で黒覆面の男たちにさらわれ、金いろの顔の黄金怪人こと魔法博士のとりこになってしまう。やがて世田谷の実業家・山下清一の邸では、金庫を開けていないのに中のものが消えたと怪人から電話がかかる。町で怪しい老人が黄金怪人の人形を売っているのを見た井上とノロちゃんは、小林団長と三人で老人をつけ、地下の穴から巨人の口に吸いこまれて「胎内くぐり」の奥へ入ってしまう。そこは怪人が築いた地底の国で、小林少年は目の前の魔法の種をすべて見抜いてみせるが、少年たちは地底の洞窟で、バラバラにされる少年やゾウの背中から消えるノロちゃんといった奇術を見せられる。五日後、少年探偵団員が落ちていたバッジを拾って明智探偵に届け、明智はロウ人形にばけて地底に潜入するが、仕掛けにはまって牢に入れられる。しかし警官隊とともに現れた明智が形勢を逆転し、巨人の胎内くぐりの機械じかけに逃げこんだ怪人は、仕掛けた歯の間にはさまれて捕らえられる。

登場人物

冒頭部(原文より)

 ある夕がた、渋谷区のやしき町を、ふたりの少年が歩いていました。もとボクサーのおとうさんをもつ井上一郎君と、すこしおくびょうだけれども、あいきょうものの野呂一平君です。ふたりとも、小林芳雄少年を団長とする少年探偵団の団員なのです。  ふたりは小学校の六年生ですが、井上君はクラスでも、いちばんからだが大きく力も強いうえに、ときどき、おとうさんにボクシングをならっているので、だれにも負けません。野呂君は井上君にくらべると、ぐっとからだが小さく、なかなかチャメスケです。ノロちゃんというあだなでとおっています。そういうふうに、からだのかっこうも、性質もちがっていますけれども、ふたりは大のなかよしでした。

「魔法博士」江戸川乱歩(青空文庫)

末尾部(原文より)

 明智探偵は、この巨人の胎内くぐりの機械じかけを、じゅうぶん研究しておいたのです。そして、二十面相がその中へ逃げこんだのを見ると、ちょうど歯のあいだから、はいだすときを見はからって、うしろのほうにあるスイッチをおし、がくっと歯をかみあわせるようにしたのです。  それから、巨人の顔の前にまわった警官たちが、歯にはさまれて、もがいている黄金怪人を、なんのくもなく、しばりあげてしまいました。これが二十面相のさいごでした。こんどこそ、厳重な牢屋に入れられ、ふたたび日のめを見ることができなくなることでしょう。  こうして、名探偵明智小五郎と小林少年の、かがやかしい手柄ばなしが、またひとつ加えられたのでした。

「魔法博士」江戸川乱歩(青空文庫)

原文を読む

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