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魔法人形(江戸川乱歩)のあらすじ・登場人物

生き人形と宝冠の怪

  • ミステリ
  • 冒険

江戸川乱歩 1957年(昭和32年)1月 「少女クラブ」

文字数
72,508字
読了目安
約2時間25分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

江戸川乱歩が講談社の少女雑誌「少女クラブ」に1957年(昭和32)の1年間連載した、少年探偵団ものの長編。少年探偵団ものは少年雑誌が舞台の中心だが、本作は少女読者に向けて書かれ、明智探偵の少女助手・花崎マユミも活躍する。公園で消えた女の子、ふたりそっくりの生き人形、腹話術師と、人形の怪を軸に、宝冠をめぐる攻防が描かれる。ポプラ社版では『悪魔人形』の題で知られる。

あらすじ

赤坂見附の公園で、小学五年の甲野ルミは白ひげのおじいさんに誘われ、そのまま姿を消す。ルミの家には「甲野ルミの棺」と書かれた木箱が届き、父の甲野光雄に身のしろ金一千万円を求める電話がかかる。ルミは屋敷の中で、腹話術で動くおねえさま人形に引きあわされていた。小林少年は、ルミの身がわりにはいった箱が引き取られる先を突き止めようと、女の子の姿に変装して屋敷にしのびこむ。屋敷の怪老人に見つかって箱に釘を打たれ、火の海にかこまれて死にものぐるいであばれる。杉並署で保護された人形師の老人の正体が明らかになったあと、ルミちゃんは家に帰ってくる。しかし事件はこれでおわらなかった。人形売りの男が、ユリ子人形と名づけた美しい人形を売りに来る。買った家の少女サナエは人形に夢中になり、兄の進一は夜ごとに人形が動くことに気づいて小林少年に相談する。ユリ子人形はヨーロッパの女王の「ほのおの宝冠」を盗み出す。明智探偵の少女助手マユミは、にせの箱を用意して宝冠をまもり、宝冠の行方を追って西洋悪魔と名のる怪人の洋館に入りこむ。マユミは地底のジャングルに連れていかれ、ゴリラやトカゲ、黄金のトラといった怪物に出会うが、小林少年と少年探偵団が仕掛けを見やぶる。最後に怪人二十面相は警察に捕らえられ、少年たちは明智先生の勝利を祝う。

登場人物

冒頭部(原文より)

 小学校六年生の宮本ミドリちゃんと、五年生の甲野ルミちゃんとが、学校の帰りに手をひきあって、赤坂見附の近くの公園にはいっていきました。その公園は、学校とふたりの家とのまん中ほどにある、千平方メートルぐらいの小さな公園で、みどりの林にかこまれ、三分の二は芝生、三分の一は砂場になっていて、砂場のほうには、ぶらんこやすべり台、芝生のまわりには、屋根のあるやすみ場所や、ベンチなどがあります。  いつもは、ぶらんこやすべり台で、たくさん子どもが遊んでいるのですが、その日はどうしたわけか、ひとりも子どもの姿が見えません。芝生のほうもがらんとしてだれもいないのです。

「魔法人形」江戸川乱歩(青空文庫)

末尾部(原文より)

 二十面相は、もう、ものをいう力もなく、へなへなと地面にうずくまってしまいました。 「それっ。」というと、ふたりの警官が、とびついていきました。たちまち手錠がはめられ、そのうえ用意の縄で、ぐるぐる巻きにしばられてしまいました。  そこへ、ポケット小僧をさきにたてて、おおぜいの少年がかけつけてきました。その中にマユミさんもまじっています。 「あれが二十面相だよ。明智先生は、とうとう、二十面相をつかまえてしまったんだよ。」 「ワーッ、すてき。明智先生ばんざーい!」  いちばんおくびょうもののノロちゃんが、まっさきに叫び、みんなも、それにあわせて、高らかに、明智先生と少年探偵団のばんざいを、となえるのでした。

「魔法人形」江戸川乱歩(青空文庫)

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