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まなづるとダァリヤ(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

女王を夢みた赤い花

  • 幻想

宮沢賢治 

文字数
2,848字
読了目安
約6分
表記
新字新仮名

この作品について

宮沢賢治の童話。丘の果樹畑に咲く、花の女王になりたい赤いダァリヤと、二本の黄色いダァリヤ、沼のほとりの白いダァリヤ。毎晩空を過ぎるまなづるの短い返事と、日ごとに変わる色の描写が、赤いダァリヤの慢心とその行方を静かに描く。光や空の色を宝石や鉱物の名で言い表す文体が特徴の小品である。

あらすじ

果樹畑の丘に、黄色いダァリヤが二本と、背の高い赤いダァリヤが一本咲いていた。赤いダァリヤは花の女王になりたいと思い、朝ごとに黄色い友達に、自分がどんなに光って見えるかを尋ねては、ほめられるが満足しない。夜には空を飛ぶまなづるにも同じことを尋ねるが、まなづるは短く答えると、沼のほとりにひっそり咲く白いダァリヤにだけ穏やかに声をかけて去る。日がたつにつれ、黄色いダァリヤの目には赤い花に黒いぶちが見え始めるが、言い出せずにいる。ある朝ついに問いただされて打ち明けると、赤いダァリヤは取り乱す。そこへ三角帽子の男が現れ、これは親方の紋だと叫んで花の枝を折り、赤いダァリヤを連れていってしまう。黄色いダァリヤは泣きながら見送るしかなかった。

登場人物

冒頭部(原文より)

 くだものの畑の丘のいただきに、ひまはりぐらゐせいの高い、黄色なダァリヤの花が二本と、まだたけ高く、赤い大きな花をつけた一本のダァリヤの花がありました。  この赤いダァリヤは花の女王にならうと思ってゐました。  風が南からあばれて来て、木にも花にも大きな雨のつぶを叩きつけ、丘の小さな栗の木からさへ、青いいがや小枝をむしってけたたましく笑って行く中で、この立派な三木のダァリヤの花は、しづかにからだをゆすりながら、かへっていつもよりかゞやいて見えて居りました。

「まなづるとダァリヤ」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

「どこへいらっしゃるのよ。どこへいらっしゃるのよ。あたしにつかまって下さいな。どこへいらっしゃるのよ。」二つのダァリヤも、たまらずしくりあげながら叫びました。  遠くからかすかに赤いダァリヤの声がしました。  その声もはるかにはるかに遠くなり、今は丘のふもとのやまならしの梢のさやぎにまぎれました。そして黄色なダァリヤの涙の中でギラギラの太陽はのぼりました。

「まなづるとダァリヤ」宮沢賢治(青空文庫)

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