増鏡(作者不詳)のあらすじ・登場人物
後鳥羽院から後醍醐帰京まで
- 歴史
- 古典
- 文字数
- 147,908字
- 読了目安
- 約4時間56分
- 表記
- 新字旧仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 京都府
この作品について
南北朝時代に成立したとされる歴史物語。作者はわかっておらず、二条良基説などがある。後鳥羽天皇の誕生(1180年)から、後醍醐天皇が隠岐から帰京する元弘三年(1333年)までの約百五十年を、天皇・上皇・公家たちの動きを中心に十七巻で語る。承久の乱での後鳥羽院の隠岐配流、鎌倉幕府の将軍と朝廷の関係、持明院統と大覚寺統の対立、後醍醐天皇の討幕と隠岐への流罪などが、和歌をまじえた優美な文章で描かれる。嵯峨の清凉寺で出会った百歳を超える老尼が昔を語る形をとり、四鏡の最後にあたる。本書は国文大観(歴史部「四鏡」、丸岡桂・松下大三郎共編、板倉屋書房、1906年)に収める原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて校正し、収録した。
あらすじ
二月十五日、釈迦の涅槃の日に嵯峨の清凉寺へ参った語り手は、そこで、百歳を超えた老尼に出会い、昔の事を語ってもらう。老尼の語りは、治承四年(1180年)の後鳥羽天皇の誕生と即位から始まる(第一「おどろのした」)。承久の乱で後鳥羽院が隠岐へ流される場面(第二「新島守」)に続いて、承久の乱ののちの朝廷と鎌倉の関係、後嵯峨天皇以後の天皇や上皇の御代の宮中の儀式、歌合・管弦の宴、人々の恋や出家が、和歌とともに語られていく。やがて持明院統と大覚寺統が皇位を争う時代となる(第三〜第十六)。最後の第十七「月草の花」では、元弘の変で隠岐に流された後醍醐天皇が島を脱し、鎌倉幕府が滅んで都へ帰る様子が描かれ、物語は終わる。
登場人物
- 老尼(語り手) 嵯峨の清凉寺で出会った百歳を超える尼。昔の出来事を語る
- 後鳥羽院 物語の最初の中心。承久の乱ののち隠岐に流される
- 後嵯峨天皇 承久の乱ののち即位し、のちの両統の祖となる
- 後醍醐天皇 討幕を企てて隠岐に流されるが、島を脱して帰京する
冒頭部(原文より)
きさらぎの中の五日は鶴の林にたきゞつきにし日なれば、かの如来三伝の御かたみのむつましさに、嵯峨の清凉寺にまうでゝ、常在霊鷲山など心のうちに唱へて拝み奉る。
「増鏡」作者不詳(青空文庫)
末尾部(原文より)
「すみぞめの色をもかへつつき草のうつればかはる花のころもに」」。
「増鏡」作者不詳(青空文庫)
原文を読む
原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:丸岡桂・松下大三郎 共編「國文大觀 歴史部 四鏡」(板倉屋書房、1906年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて校正し、増鏡(序と第一〜第十七)の本文だけを収録した(異本の注記・傍注・割注・奥付は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。