めくらぶどうと虹(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
虹へ捧げるぶどうの思い
- 幻想
- 文字数
- 2,502字
- 読了目安
- 約5分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
宮沢賢治の短編童話。城あとの丘に熟れためくらぶどうが、空にあらわれた虹へ思いをうちあける、ごく短い物語。虹の答えは、変わるものも消えるものも、本当の力の中ではおなじ喜びだというもので、短いながら詩のような余韻が残る。同じ場面を扱った「マリヴロンと少女」もある。
あらすじ
秋の城あとの丘で、めくらぶどうの実が虹のように熟れていた。日照り雨がやんで大きな虹があらわれると、めくらぶどうは、せめて一言でも虹と言葉をかわしたいと思い、「私のうやまいを受けとってください」と叫ぶ。虹は、うやまいを受けるのはあなたも同じだと答える。めくらぶどうが、あなたのためなら百ぺん死んでもいいと言うと、虹は、本当はどんなものも変わらないものはないが、まことの力の中では、おとろえるものもはかないものも、みな限りないいのちだと語る。連れて行ってほしいという願いに、虹は、いつでもあなたのことを考えているが、もうあなたは私を見ないでしょうと別れを告げる。停車場の笛が鳴り、もずが飛び立ち、虹はうすれて消え、ひばりが調子はずれの歌をうたう。
登場人物
- めくらぶどう 丘の上の小さな木。虹にあこがれる
- 虹 めくらぶどうと言葉をかわし、別れを告げる
冒頭部(原文より)
城あとのおおばこの実は結び、赤つめ草の花は枯れて焦茶色になり、畑の粟は刈られました。 「刈られたぞ」と言いながら一ぺんちょっと顔を出した野鼠がまた急いで穴へひっこみました。 崖やほりには、まばゆい銀のすすきの穂が、いちめん風に波立っています。
「めくらぶどうと虹」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
「虹さん。私をつれて行ってください。どこへも行かないでください」 虹はかすかにわらったようでしたが、もうよほどうすくなって、はっきりわかりませんでした。 そして、今はもう、すっかり消えました。 空は銀色の光を増し、あまり、もずがやかましいので、ひばりもしかたなく、その空へのぼって、少しばかり調子はずれの歌をうたいました。
「めくらぶどうと虹」宮沢賢治(青空文庫)
原文を読む
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