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人形つかい(アンデルセン)のあらすじ・登場人物

人形つかいの幸福論

  • 幻想
  • 翻訳

アンデルセン 訳者 矢崎源九郎 

文字数
5,700字
読了目安
約11分
表記
新字新仮名

この作品について

アンデルセンが1851年に発表した童話(原題「Marionetspilleren」)を、矢崎源九郎が訳したもの(新潮文庫『人魚の姫 アンデルセン童話集Ⅰ』)。汽船で乗り合わせたデンマーク人の老人が、人形が生きた役者になる夢をかなえたときの顛末を、語り手の「わたし」に聞かせるという枠構造の話。自分の仕事に満足することの意味を、旅まわりの人形芝居の座長の口から、ほがらかな調子で語らせる。

あらすじ

汽船に乗り合わせた陽気な老人は、旅まわりの人形芝居の座長で、自分は世界でいちばんしあわせな人間だと語る。若いころ、人形が生きた役者になり、自分が生きた人間の一座の監督になることを願っていた。ある町で、工科大学の学生の講義を聞き、ブドウ酒をおごられて語りあううち、学生の顔が太陽のように輝く。気がつくと、人形たちは生きた芸術家になり、自分は監督になっていた。ところが一座のものは、踊り子や皇后、主役、プリマドンナまでが、待遇や照明の注文を言い立て、息がつまりそうになる。人形にすぎないと言うと、みんなに打ってかかられる。目がさめると、自分は部屋のベッドで、人形たちは箱から投げ出されていた。人形を箱にもどして、もう人間になることは願わないと言うと、心が清められ、以来幸福な監督でいる。話し手は、これからスウェーデンへ行くところだと語る。

登場人物

冒頭部(原文より)

 いかにも楽しそうな顔つきをした、かなりの年の人が、汽船に乗っていました。もし、ほんとうにその顔つきどおりとすれば、この人は、この世の中で、いちばんしあわせな人にちがいありません。じっさい、この人は、自分で、そう言っていましたよ。わたしは、それを、この人自身の口から、ちょくせつ聞いたのです。  この人は、デンマーク人でした。つまり、わたしと同じ国の人で、旅まわりの芝居の監督だったのです。この人は、一座のものを、いつもみんな、引きつれていました。それは、大きな箱の中にはいっていました。というのも、この人は人形つかいだったからです。この人の話によると、生れたときから陽気だったそうですが、それが、ある工科大学の学生によって清められ、そのおかげで、ほんとうにしあわせになったということです。  わたしには、この人の言う意味が、すぐにはわかりませんでしたが、まもなく、この人は、その話をすっかり説明してくれました。これが、そのお話です。

「人形つかい」アンデルセン(青空文庫)

末尾部(原文より)

 わたしは、今までにデンマークを、すみからすみまで旅してまわりました。そして、あらゆる人を知り、またわたしも、あらゆる人に知られました。いま、わたしはスウェーデンに行くところです。もしスウェーデンでも、運がよくて、お金をたくさんもうけたら、わたしはスカンジナビア会にはいるつもりです。でも、もうけなければ、はいりませんよ。この話は、あなたが同じ国のかただから、申しあげるのです。  そして、同じ国の人間であるわたしは、この話を、さっそくそのまま、お伝えしたわけです。ただお話ししたいばっかりにね。

「人形つかい」アンデルセン(青空文庫)

原文を読む

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