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人参(泉鏡花)のあらすじ・登場人物

長安の大問屋が一杯食う

  • 風刺

泉鏡花 1911年(明治44年)5月

文字数
3,183字
読了目安
約6分
表記
旧字旧仮名
種別
小説

この作品について

泉鏡花の滑稽な掌編。末尾に「明治四十四年五月」とあり、1911年5月ごろの作とみられる。長安の人参の大問屋に、銀貨を馬に積んだ若者が現れ、主人の宿まで品物を届けてほしいと頼む。落語の小話のように、買い物を装った騙りの手口を軽妙な語りで描き、続けて新しい靴の唐人にまつわる小話が添えられる。怪談や幻想で知られる作者の、洒落た一面を見せる小品。

あらすじ

長安の人参の大問屋・張広号に、馬に銀貨を積んだ十八九の少年が現れ、人参を百両買いたいと言う。主人は気難しいので、品物を持って宿まで来て選んでもらいたいと頼まれ、手代が大包みを抱えて同行する。宿の二階では、藍の頭巾をかぶった美髯の紳士が待っていて、手代に人参を卓一杯に積ませる。そこへ階下に債権者が来たと騒ぎが起き、紳士は人参を竹行李に入れて番をしておくよう手代に頼み、少年を連れて下りていく。階下で取っ組み合いの物音がしたのち静かになり、手代が鍵を開けてみると、行李は底なしで、騒ぎに紛れて人参はすべて抜き取られていた。続けて、新しい靴を履いた唐人が通りすがりの男に帽子を屋根へ投げ上げられ、取りに上がるために肩を借りた男に、靴を持ち逃げされる小話が語られる。

登場人物

冒頭部(原文より)

京師の張廣號は、人參の大問屋で、聞えた老鋪。銀座で一番、と云ふづツしりしたものである。  一日の事で、十八九の一人の少年、馬に打乘り、荷鞍に着けた皮袋に、銀貨をざく/\と鳴して來て、店頭へ翻然と降り、さて人參を買はうと云ふ。

「人参」泉鏡花(青空文庫)

末尾部(原文より)

其處で薄汚れた襪に成つて、肩から廂へ、大屋根へ這上つて、二百十日と云ふ形で、やつとこな、と帽子を掴むと、下の奴は甜瓜かじりに靴を掴んで、一目散。人込の中へまぎれて候。

「人参」泉鏡花(青空文庫)

原文を読む

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