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お穴様の探検(江見水蔭)のあらすじ・登場人物

洞窟信仰と大発掘の騒動

  • 冒険

江見水蔭 1909年(明治42年)5月

文字数
7,449字
読了目安
約15分
表記
旧字旧仮名
種別
随筆
舞台
  • 神奈川県

この作品について

東京と横浜のあいだの瓢簞山で見つかった洞窟が「お穴様」として信仰を集め、参詣人が日に何千人も押し寄せた明治の騒動と、その正体を確かめるために行われた大発掘の探検記。探検記『地中の秘密』の一章で、筆者の水蔭は新聞記者として参観し、思わぬ形で穴の中へ踏み込む。迷信と学術が交錯する世相を、軽妙な筆で伝える。

あらすじ

明治四十年四月、川崎と鶴見の中間にある駒岡村の瓢簞山で、土工が偶然に洞窟を掘り当てた。中から人骨や武器、土器が出たため「お穴様」「岩窟神社」と呼ばれ、日に何千人もの参詣人が押し寄せて、茶店や売店が三百軒余り新築される騒ぎになる。神奈川県警が取り締まるなか、坪井博士の調査で、これは古代の葬坑である横穴と分かる。山頂の古墳と山麓の横穴の関係を確かめるため、四十一年十月七日から博士の監督で大発掘が行われ、水蔭は朝日の水谷幻花らとともに新聞記者として参観する。会場は園遊会のような賑わいで、第一日は古靴が出るだけに終わり、二日目も地主同士の衝突や小雨に妨げられて失敗する。三日目の九日、山麓で人夫の船町倉次郎が円石の下から穴を掘り当て、一同は大騒ぎになる。窒息を恐れて誰も入らないなか、水蔭は龕灯で内部を照らそうとして入口で足を滑らせ、穴の中へ滑り落ちる。奥には人骨らしいものと錆びた直刀二本が横たわっていた。水蔭は大野助手、和田、野中、水谷とともに寸法を測り、遺骨や鉄鏃、直刀、馬具、土器などを調べ、俵形の土器を手に飛び出して「万歳」を浴びる。大学側は翌日まで調査を続けて発掘を打ち切る。水蔭は、山頂に古墳があったこと、山頂の古墳と山麓の横穴は時代が無関係なこと、第二の横穴の数人は同日戦死した武人の合葬だろうことの三点を自説として述べ、魚骨と土器の中の植物の発見を付記して筆を擱く。

登場人物

冒頭部(原文より)

 大評判の怪窟※それは、東京と横濱との中間で、川崎からも鶴見からも一里足らずの處である。神奈川縣橘樹郡旭村大字駒岡村瓢簟山の東面部に其怪窟はある。

「お穴様の探検」江見水蔭(青空文庫)

末尾部(原文より)

 これを一々論ずるのは、探檢記の主意で無いので、之で筆を擱く。

「お穴様の探検」江見水蔭(青空文庫)

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