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おきなぐさ(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

うずのしゅげを知っていますか

  • 幻想

宮沢賢治 1934年(昭和9年)

文字数
3,414字
読了目安
約7分
表記
新字新仮名
舞台
  • 岩手県

この作品について

「うずのしゅげを知っていますか」——おきなぐさの方言名から語り出される宮沢賢治の小品。黒朱子のような花びらをつけた二本のおきなぐさが、ひばりと語らい、風に吹かれてゆく。その魂の行方を、語り手が変光星に見立てる結びが美しい。

あらすじ

「うずのしゅげを知っていますか」——植物学ではおきなぐさと呼ばれるが、その名はあのやさしい若い花をあらわさないように思う、と語り手は言う。うずのしゅげと言うときには、黒朱子の花びら、青じろい銀びろうどの葉、六月のつやつや光る冠毛が、みなはっきりと眼にうかぶのだ、と。花の下を行き来する蟻に「おまえはうずのしゅげはすきかい」と尋ねると、蟻は「大すきです。誰だってあの人をきらいなものはありません」と活発に答える。まっ黒に見えるときもあるが、日の光が降るときにはまるで燃えあがってまっ赤に見えるのだという。丘の上には二本のうずのしゅげが立っていた。ひばりが飛んできて言葉を交わす。二人はもうすぐ穂になって飛んでゆくのが怖くないかと問われ、少しも怖くない、うれしいのだと答える。北のそらのアーク燈のように光る星を見上げ、風に吹かれ、二人は静かにその日を待つ。やがて、奇麗なすきとおった風がやってきた。ポプラをひるがえし、燕麦に波をたて、丘にのぼってくる。うずのしゅげは光ってまるで踊るようにふらふらして叫んだ。「さよなら、ひばりさん、さよなら、みなさん。お日さん、ありがとうございました」。そして星が砕けて散るときのように、からだがばらばらになり、一本ずつの銀毛はまっしろに光って北のほうへ飛んでいった。ひばりは空へまっすぐに飛びあがり、鋭い短い歌をほんのちょっと歌った——語り手は、天へ行った二つの小さなたましいが、二つの小さな変光星になったのだと思う。

登場人物

冒頭部(原文より)

 うずのしゅげを知っていますか。  うずのしゅげは、植物学ではおきなぐさと呼ばれますが、おきなぐさという名はなんだかあのやさしい若い花をあらわさないようにおもいます。  そんならうずのしゅげとはなんのことかと言われても私にはわかったようなまたわからないような気がします。

「おきなぐさ」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

 私は考えます。なぜひばりはうずのしゅげの銀毛の飛んで行った北の方へ飛ばなかったか、まっすぐに空の方へ飛んだか。  それはたしかに、二つのうずのしゅげのたましいが天の方へ行ったからです。……そんなら天上へ行った二つの小さなたましいはどうなったか、私はそれは二つの小さな変光星になったと思います。

「おきなぐさ」宮沢賢治(青空文庫)

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