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神鷺之巻(泉鏡花)のあらすじ・登場人物

白鷺の森で再会する恋人

  • 幻想
  • ミステリ

泉鏡花 1933年(昭和8年)1月

文字数
26,626字
読了目安
約53分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

末尾に1933年(昭和8年)1月とある晩年の中編。青空文庫の注記によれば、同じ月に発表された『灯明之巻』とは内容として続きものである。奥州の関屋の在を訪れた俳人・小県銑吉が、古寺で見つけた女持ちの品に導かれて白鷺明神の森へ入る。村の巫女の老婆とその夫・孫八、薙刀を構えた女、鼻の高い奇怪な紳士など、土俗と怪異が重なる世界で、愛する人を救おうとする一日の出来事が語られる。

あらすじ

奥州の関屋の在、荒れ果てた古寺・西明寺で、俳人の小県銑吉は、猟夫上がりの爺さん孫八に出会う。孫八の妻は土地の巫女で、峰の白鷺明神は女体の神だという。寺の棚には、木魚の下に女持ちの提紙入れが置かれ、観音の廚子の前には女扇子が供えられていた。明神の森に入った小県は、薙刀を構えた女に襲われかけるが、その声は築地の料理店梅水の娘分で、かつての恋人のお誓であった。お誓は身重の身で、観音の腹帯を解いて棄てる場所を探し、沼に身を投げようとしていた。沼のほとりで、鼻の高い奇怪な紳士が赤い少年たちを従えて現れ、お誓に迫る。お誓が腹帯を沼に流すと、紳士は沈み、少年たちは孫八に助けられる。銃声が響いて弾丸がお誓の帯留の金具に当たるが、打身で済み、媼巫女に腹を撫でられて快方に向かう。後日、西明寺の上人から、入院中に流産した婦人がほぼ快癒したとの知らせが小県のもとへ届く。

登場人物

冒頭部(原文より)

 白鷺明神の祠へ――一緑の森をその峰に仰いで、小県銑吉がいざ詣でようとすると、案内に立ちそうな村の爺さんが少なからず難色を顕わした。  この爺さんは、 「――おらが口で、更めていうではねえがなす、内の媼は、へい一通りならねえ巫女でがすで。」……  若い時は、渡り仲間の、のらもので、猟夫を片手間に、小賭博なども遣るらしいが、そんな事より、古女房が巫女というので、聞くものに一種の威力があったのはいうまでもない。

「神鷺之巻」泉鏡花(青空文庫)

末尾部(原文より)

西明寺   木魚。  和尚さんも、貧地の癖に「木魚」などと洒落れている。が、それはとにかく――(上人の手紙は取意の事)東京の小県へこの来書の趣は、婦人が受辱、胎蔵の玻璃を粉砕して、汚血を猟色の墳墓に、たたき返したと思われぬでもない。

「神鷺之巻」泉鏡花(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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