女客(泉鏡花)のあらすじ・登場人物
二階の夜に語る昔の苦労
- 恋愛
- 心理
- 文字数
- 8,053字
- 読了目安
- 約16分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 東京都
この作品について
泉鏡花の短編。東京で母と暮らす青年・謹之助の家の二階に、郷里から幼い子を連れて来た縁続きの人妻お民が逗留している。かつての貧しい暮らしを語り合ううちに、互いが口にできなかった思いが静かに浮かび上がる。会話を中心に進む。明治38年(1905)6月の成立。
あらすじ
東京の家の二階。主人の謹さんのもとへ、国許から幼い子を連れて上京し逗留している縁続きのお民が、手紙を届けに来て話し込む。二人は、家が焼けて蚊帳もなかったころの暮らしと、母を養えず濠に身を投げることまで考えた夜々を語り合う。謹さんは、そのころお民の面影を支えに生きてきたと打ち明け、お民も同じ思いで夜の濠端を歩いたと言う。お民は、帰らずにいようかと言いかけて涙ぐむが、そこへ階下で幼い譲が鼬の夢におびえて泣き出す。お民は子をあやして戻り、翌朝の米のことを冗談めかして口にし、早く奥さんをもらうようにと謹さんに言い残して階下へ降りていく。
登場人物
- 謹さん 当家の主人。母と二人で苦しい時期を過ごした青年
- お民 国許から子を連れて逗留する縁続きの人妻
- 譲 お民の幼い息子
- 母 謹さんの老いた母
冒頭部(原文より)
「謹さん、お手紙、」 と階子段から声を掛けて、二階の六畳へ上り切らず、欄干に白やかな手をかけて、顔を斜に覗きながら、背後向きに机に寄った当家の主人に、一枚を齎らした。
「女客」泉鏡花(青空文庫)
末尾部(原文より)
その時襖の開く音がして、 「おそなわりました、御新造様。」 お民は答えず、ほと吐息。円髷艶やかに二三段、片頬を見せて、差覗いて、 「ここは閉めないで行きますよ。」
「女客」泉鏡花(青空文庫)
原文を読む
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