大阪まで(泉鏡花)のあらすじ・登場人物
喜多八の大阪行き
- 風刺
- 文字数
- 5,584字
- 読了目安
- 約11分
- 表記
- 旧字旧仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 東京都
- 大阪府
この作品について
泉鏡花の短編。喜多八という男が、嵐の夜に東京から大阪へ向かう道中の覚え書きを、洒落や言葉遊びを交えた軽い調子で語る。大正7年(1918)10月、「新小説」に掲載された。大阪駅に着いて車夫と言葉を交わす場面で筆を措く。
あらすじ
三月、東京は天然痘が流行していた。喜多八は臆病な性分で種痘を受けたが、それからというもの、妙にもの寂しい心持ちで炬燵にこもっている。見かねた女房に勧められ、大阪の友人たちを訪ねる旅に出ることになる。十日の夜、嵐の中を俥で新橋へ急ぎ、辛うじて夜行の急行に乗り込む。車中では空気枕を抱えた乗客の群れに驚き、懐の『膝栗毛』の一節を思い出して笑い、食堂で熱燗を傾ける。夜が明けて名古屋、米原を過ぎ、京の知人を思いながら梅田に着く。人混みの中で、車夫に友人の下宿がある道修町の読みを尋ね、通じさせて俥に乗る。
登場人物
- 喜多八 語り手。臆病で洒落好きな男
- 女房 旅支度を整えて送り出す
- 矢太さん 大阪の保険会社に勤める友人
冒頭部(原文より)
これは喜多八の旅の覺書である―― 今年三月の半ばより、東京市中穩かならず、天然痘流行につき、其方此方から注意をされて、身體髮膚これを父母にうけたり敢て損ひ毀らざるを、と其の父母は扨て在さねども、……生命は惜しし、痘痕は恐し、臆病未練の孝行息子。
「大阪まで」泉鏡花(青空文庫)
末尾部(原文より)
「分つた、そりや道修町や。」 「そら、北や。」 「分つたかね。」 「へい、旦那……乘んなはれ。」
「大阪まで」泉鏡花(青空文庫)
原文を読む
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