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さいかち淵(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

夏の淵で遊ぶ子どもたち

  • 青春
  • 幻想

宮沢賢治 

文字数
5,438字
読了目安
約11分
表記
新字新仮名

この作品について

夏の川の淵「さいかち淵」で泳ぎ、魚を取り、鬼ごっこをする少年たちの二日間を、仲間の一人「ぼく」の語りで描く短編。八月十三日は発破をかける大人たちと、様子をうかがう子どもたち、不意に現れる鼻の尖った男。十四日は毒もみを持ち込んだしゅっこを中心とした遊びが書かれる。方言まじりの子どもたちの会話と、川遊びの細部の生き生きとした描写が魅力。毒もみは他の賢治作品にも登場する題材。

あらすじ

さいかち淵では毎日遊ぶ。「ぼく」と、みんなが「しゅっこ」と呼ぶ舜一は特に仲がいい。八月十三日、石神の庄助が練瓦場の人たちと、発破をかけにやって来る。しゅっこは知らんぷりして下流へ下がるよう仲間に言い、淵の岸では庄助が煙管の火を発破につけて投げこむ。ぼおという音とともに魚が浮くが、大人たちは「さっぱり居なぃな」と引き上げ、子どもたちは小さな生洲をつくって魚を入れる。そこへ、洋服にわらじ、背に光る長いものを背負った鼻の尖った男が現れて魚をかき回し、川を行ったり来たりするので、しゅっこの音頭で「あんまり川を濁すなよ、いつでも先生云うでなぃか」と声を合わせて叫ぶと、男は崖を上って豆畑へ入って行く。八月十四日、しゅっこは毒もみの丹礬を持ってきて、ぼくを誘うが、卑怯だからと断ると、しゅっこは顔色を変える。しゅっこは近所の子どもたちを集めて淵に青い石を投げ入れるが、魚はいくら待っても浮かず、みんなは水に飛び込んで鬼っこを始める。粘土の斜面で皆が水をかけられて落ち、鬼のしゅっこにつかまるうち、空が黒くなり、雷とともに夕立が来る。雨のなかで「雨はざあざあ、ざっこざっこ、風はしゅうしゅう、しゅっこしゅっこ」と叫ぶ声がして、しゅっこはおびえて、ふるえながら「いま叫んだのはおまえらだか」と尋ねる。みんなは違うと言うが、ぼくは、みんなが叫んだのだと思う。

登場人物

冒頭部(原文より)

さいかち淵なら、ほんとうにおもしろい。  しゅっこだって毎日行く。しゅっこは、舜一なんだけれども、みんなはいつでもしゅっこという。そういわれても、しゅっこは少しも怒らない。だからみんなは、いつでもしゅっこしゅっこという。ぼくは、しゅっことは、いちばん仲がいい。きょうもいっしょに、出かけて行った。

「さいかち淵」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

ようやく、みんなのいるねむのはやしについたとき、しゅっこはがたがたふるえながら、 「いま叫んだのはおまえらだか。」ときいた。 「そでない、そでない。」みんなは一しょに叫んだ。ぺ吉がまた一人出て来て、「そでない。」と云った。しゅっこは、気味悪そうに川のほうを見た。けれどもぼくは、みんなが叫んだのだとおもう。

「さいかち淵」宮沢賢治(青空文庫)

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