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水仙月の四日(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

あの子どもは、なんぼか可哀そうだ

  • 幻想

宮沢賢治 1924年(大正13年)12月 「書き下ろし」

文字数
5,694字
読了目安
約11分
表記
新字旧仮名
舞台
  • 岩手県

この作品について

雪童子と雪狼、そして雪婆んご——雪をつかさどる者たちの目を通して、猛吹雪の一日が描かれる宮沢賢治の童話。カリメラのことを考えながら家路を急ぐ子どもを、雪童子はひそかに守ろうとする。冷たく美しい雪の情景と、そこに宿るやさしさが、賢治童話のなかでもとりわけ澄んだ結晶をなしている。

あらすじ

雪婆んごは遠くへ出かけていた。赤い毛布にくるまった子どもが、カリメラの作り方を考えながら、象の頭のかたちをした雪丘の裾を家へ急いでいる。その丘の上を、白熊の毛皮の三角帽子をかぶった雪童子が、二匹の雪狼を連れて歩いていた。雪童子は、この子が前に一度、木の枝の宿り木を見上げていたことを覚えていて、こっそり枝を折って投げてやる。ところが空の彼方から雪婆んごが戻ってきた。「さあ、降らしておくれ、投げておくれ、降らしておくれ」——猛烈な吹雪が始まり、雪童子も雪狼も、命じられるままに雪を降らせ、風を吹き荒れさせる。子どもはたちまち吹雪に巻かれて倒れてしまった。雪婆んごは「その子を漬けておしまい」と命じる。雪童子は逆らえず、しかし子どもの上に自分の毛布をかけてやり、「じっとしておいで。動いちゃいけない」とささやく。雪狼たちに雪を積ませて子どもをすっぽり覆い、凍えぬように守ったのだ。夜が明け、雪婆んごが去ると、丘も野原も新しい雪でいっぱいだった。雪童子は雪狼を連れて子どもの埋まったところへ走り、雪をけたてて散らす。村の方からかんじきをはいた父親が急いでやってくるのを見て、雪童子は丘にかけあがり、一本の雪けむりを立てながら叫んだ。「お父さんが来たよ。もう眼をおさまし」。

登場人物

冒頭部(原文より)

 雪婆んごは、遠くへ出かけて居りました。  猫のやうな耳をもち、ぼやぼやした灰いろの髪をした雪婆んごは、西の山脈の、ちぢれたぎらぎらの雲を越えて、遠くへでかけてゐたのです。  ひとりの子供が、赤い毛布にくるまつて、しきりにカリメラのことを考へながら、大きな象の頭のかたちをした、雪丘の裾を、せかせかうちの方へ急いで居りました。

「水仙月の四日」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

「もういゝよ。」雪童子は子供の赤い毛布のはじが、ちらつと雪から出たのをみて叫びました。 「お父さんが来たよ。もう眼をおさまし。」雪わらすはうしろの丘にかけあがつて一本の雪けむりをたてながら叫びました。子どもはちらつとうごいたやうでした。そして毛皮の人は一生けん命走つてきました。

「水仙月の四日」宮沢賢治(青空文庫)

原文を読む

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