旅の仲間(アンデルセン)のあらすじ・登場人物
ふたり旅と姫の三つの謎
- 幻想
- 翻訳
- 文字数
- 24,576字
- 読了目安
- 約49分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
アンデルセンが1835年に『子どものための童話集』第2冊で発表した童話(原題「Reisekammeraten」。「旅の道づれ」の題でも知られる)を、矢崎源九郎が訳したもの(新潮文庫『マッチ売りの少女 アンデルセン童話集Ⅲ』)。死者の恩返しをあつかう昔話を土台にした長めの冒険譚で、父を亡くした青年ヨハンネスが旅に出て、「旅の仲間」の男と出会い、魔女のような王女の三つの謎に挑む。妖精、人形芝居、山の中の魔法使いの宴など、不思議なものがつぎつぎ登場し、信心深く心の正しい主人公が報われていく。
あらすじ
父を亡くしたヨハンネスは、残った五十ターレルを持って広い世の中へ旅に出る。途中のお堂で、借金を返さず死んだ男の棺を外へほうり出そうとする悪者二人に出会い、持ち金をそっくり渡して死者をそっとしておいてもらう。森で出会った旅の男とともに歩き、足をくじいたおばあさんをこうやくでなおして三本のむちをもらい、人形芝居のこわれた人形にもこうやくを塗って命を与える。やがて着いた町の王女は、三つのなぞを出して、とけない求婚者の首をはねさせる美しい魔女だった。ヨハンネスは夢で見たとおりの王女に心を奪われ、なぞに挑む。夜ごと、旅の男は姿を隠して王女のあとを追い、むちで打ちながら山の魔法使いとの会話を盗み聞きして、ヨハンネスに答えを教える。三日目、旅の男は魔法使いの首を切り落とし、ヨハンネスはそれを示してなぞに勝つ。ヨハンネスはハクチョウの羽根と水ぐすりで王女の魔法をとき、二人は結ばれる。旅の男は、お堂で助けられた死者その人だったと明かし、借りを返したと言って姿を消す。ヨハンネスは国の王さまになる。
登場人物
- ヨハンネス 父を亡くした心の正しい青年
- 旅の仲間 知恵と不思議なこうやくを持つ、素性のわからない男
- お姫さま 美しいが、求婚者に三つのなぞを出す魔女
- 年とった王さま 姫の行いを嘆く心やさしい父
- 山の魔法使い 王女に入れ知恵をする
冒頭部(原文より)
かわいそうに、ヨハンネスは、たいそう悲しんでいました。むりもありません。おとうさんが重い病気で、もう、たすかるのぞみがなかったのですからね。この小さな部屋には、ヨハンネスとおとうさんのほかには、だれもいませんでした。テーブルの上のランプは、いまにも、燃えきってしまいそうでした。もう、夜もすっかりふけていました。 「おまえはいい子だったね、ヨハンネス」と、病気のおとうさんは言いました。「世の中へ出ても、きっと、神さまがたすけてくださるよ」 こう言って、おとうさんは思いつめた目つきで、やさしくヨハンネスを見つめました。それから、深い息をつくと、それなり死んでしまいました。見たところでは、まるで、眠っているとしか見えません。
「旅の仲間」アンデルセン(青空文庫)
末尾部(原文より)
「いやいや、わたしの時はおわったのだよ。わたしは、おまえさんに、かりていたものを返しただけなのさ。おまえさん、いつか、死んだ男を、わるいやつらが、ひどいめに会わそうとしていたのを、おぼえているかね。あのとき、おまえさんは、持っているものをみんな、そいつらにやって、死んだ男がお墓の中で、しずかに休むことができるようにしてやったね。その死んだ男が、じつは、このわたしなんだよ」 こう言いおわると、旅の仲間の姿は消えてしまいました。―― ご婚礼のお祝いは、まる一月もつづきました。ヨハンネスとお姫さまは、おたがいに心から愛しあいました。お年よりの王さまは、それからのちも、それはそれは楽しい日々をすごしました。かわいらしい、小さなお孫さんたちを、ひざの上であそばせたり、しゃくをおもちゃにさせたりしました。いっぽう、ヨハンネスは、この国じゅうの王さまになっていました。
「旅の仲間」アンデルセン(青空文庫)
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。
同じ作家の作品
近い作品
- アラビヤンナイト アラジンとふしぎなランプ
- アラビヤンナイト 船乗シンドバッド
- リップ・ヴァン・ウィンクル
- 白雪姫
- ろくろ首 1904年(明治37年)4月
- 耳無芳一の話 1904年(明治37年)4月